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【ツイステ/短編集】◆ SCaT !!◆

第3章 偽物王子 【ラギー・ブッチ】



□偽物王子(ラギー・ブッチ)

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

何故この女はこんなにタイミングが悪いのか。

「に、逃げるっすスっ!!
てか何でいるんスか!?訳わかんねぇっ!!」

「う、わぁっ!!ま、待ってっ!!」

「待ってたら捕まるでしょ!
ほらっ、ちゃんと走って下さい!
俺、怒られるのはごめんなんスよ!!」

仕方なく彼女の手を取って夜の中庭を走った。

ちょっとした罰ゲームでジェイドの背中にタコのシールを貼る。なんて言う下らない事をしていたら、物の見事に巻き込まれたお馬鹿さん。そのお間抜けは、随分足が遅いらしく手を引いたところでスピードは変わらなかった。


「ちょ…と、ま、まって。」

「あー、もうっ!!仕方ないっスね!!」

「……え、………う、うわぁっ!!!」
「(阿呆だから囮にも使えないしなぁ…。)」

この阿呆では囮にもならない。
寧ろ置いていったら状況が悪化する。何故かそんな事を思って足の遅い小動物を抱え込んだ。


「…………ふっ、ふふっ。」
「なんで笑ってるんスか!!」

抱えて走り出した数秒後、彼女は楽しそうに笑い出した。静かな中庭にはその_クスクス。とした笑い声と自分の息の切れる音、それから芝生を蹴り飛ばす自分の足音が妙に響く。


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