【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第5章 【真紅の暴君】前編
私達は、昨日エースを追いかけてデュースと出会った鏡舎に入った。
中には大きな鏡が7つ、外枠はそれぞれ異なるデザインで彫られてる。
ユウ
「ここから、7つある寮に行き来出来るんだよね」
デュース
「ああ。ハーツラビュル寮の扉は、あの鏡だ」
エース
「………」
ユウ
「ほら、エース」
私は、鏡を前にしてもまだ不満顔でいるエースの腕を掴んで、軽く引っ張った。
エース
「あーもう、引っ張るな!行けばいいんでしょ、行けば!」
だって昨日は逃げたじゃん……言ったら怒られそうだから、声には出さないけど!
デュースとエースに続いて、私とグリムもハーツラビュル寮への扉を潜った。
◇◆◇◆◇◆
赤・黒・白で彩られた洋館。
ユウ
「わあ……!」
一見すると屋敷に見えるのに、中央や奥の方に塔があるからか、お城のような雰囲気も合わさってた。
グリム
「ほわぁ〜!めっちゃ豪華だ!」
周囲には薔薇園、石畳の中央には噴水まで設置されてる。
初めて訪れたハーツラビュル寮は、本当に学生寮かと疑いたくなるくらい、華やかで美しい所だった。
グリム
「オレ様たちの寮と全然違うんだゾ!」
ユウ
「うっ、うちの寮はまだ発展途上だから!」
比較するのやめてよ!切なくなるじゃんか!
若干泣きたくなりながら、私はデュース達の後をついてハーツラビュル寮へと歩き出した。
???
「やばいやばい。急いで薔薇を赤く塗らないと」
グリム
「おっ、誰かいるんだゾ」
グリムが、薔薇園の中を指差す。
そこには、1人の上級生らしき男の人がいた。
薔薇に対して、何やら作業をしている。
???
「おっと危ない。塗り残しは首が飛ぶぞ」
ユウ
「?」
デジャビュってやつかな……
『急いでバラを赤く塗るんだ』
この光景、どこかで見たような気が……?