第4章 錬金術師の苦悩
大佐の思いがけない声に「はぁ?なんでだよ」と叫び返す。
すると、エドの周りをパチパチと電気が走る。
『おい、あたしの雷はあいつ見たいに発火布でも錬成陣から成されるものでもないと初めに言わなかったか?』
エドに馬乗りになられながらも淡々と喋るリビア。
その腕から指先は確かにエドの錬成によって拘束されている。
しかしそこには楽しそうに口を歪ますリビア。
初めて無表情以外の表情を見せるが、その表情は殺気すら感じるものである。
『殺す気で戦え。でなきゃ死ぬぞ。相手が味方でも敵でも関係ない』
その言葉と共にエドを雷が攻撃する。
声にもならない叫び声をあげ、崩れ落ちるエド。
己の雷の爆発を利用し、腕から指先の拘束を破壊するリビア。
大佐とアルの元に来たリビアは、ふらつくエドを見て、
「まぁ、雷は立てる程度に食らわせといたし、大丈夫だろ」
と一言言って砂まみれになった衣服をはたきながら本部の方に向かってしまう。
「どうだ、彼女は強いだろう」
雷を受け、ふらつくエドをアルが支えるように歩く。
そんな二人の横を歩きながら大佐は笑う。
「あいつ…滅茶苦茶だろ…よく考えたら錬成に頼ってなかった…。得意の雷も最後だけだったし…」
「そうだな。今日の彼女の槍を破壊したりは錬金術における『理解・分解・再構築』の『分解』で錬成を制御しているから、らしいぞ」
「らしいぞってなんだよ」
「彼女から聞いただけだからな、実践したことがないだけなのだよ」
「しっかり休みたまえ」と言い残し、去っていく大佐。