第68章 *終曲ポムフィオーレ*
オンボロ寮・ユウたちの部屋
暫くした後、レイラは自然と目が覚めてゆっくりと体を起こした
『..まだモヤモヤしてる。でも、寝る前より..楽かも』
グリム『おう起きたか』
『グリム。守ってくれてありがと』
グリム『ツナ缶1個で手を打ってやるんだゾ』
『ん、分かった』
大きく背伸びをしてベッドから降りると、グリムと共に談話室へと向かって部屋を出た
オンボロ寮・談話室
『ユウ、おはよ』
ユウ『レイラ!おはよ、よく眠れた?気分どう?ツラかったら言うんだよ?』
『ちょっとまだ苦しいけど、ユウがギュッてしてくれたら楽になるかも』
ユウ『レイラが元気になれるならいくらでもするよ』
おいで、と広げられた両腕に収まると、ユウの背に手を回して強く抱きついた
『...ねぇ、みんなは?』
ユウ『今は荷物まとめてる最中だよ。もうすぐ終わるから、玄関でお見送りしようね』
『...ん』
ユウの声を心地よく聞いていたレイラだったが、急に表情を引き締めると、そっとユウの肩に手を置いて体を離した
ユウ『レイラ?』
『..少し、お話してくる』
ユウ『誰と?』
クルッと背を向けて談話室を去ろうとすると、いつもより少し強めな口調呼び止められる
だがレイラは足を止めるも、振り返ることはせずそっと一言
『...内緒』
それはいつものイタズラめいたものではなく、これ以上何も聞くなと言わんばかりの悲しい声だった
オンボロ寮・ルークの部屋
ルーク『ようこそ兎の君』
『..少し、いい?』
ルーク『勿論だとも。さあ、どうぞ中へ』
突然の訪問にも関わらず、まるで来ることが分かっていたかのように微笑みながら、ルークはレイラを優しく招き入れた
ルークはすぐにレイラが座るための椅子を出そうとしたが、首を横に振って静かに拒んだ
『いい。1つ聞きたいだけだから..』
ルーク『そうかい。それで、聞きたい事とは何かな?』
『...VDCの投票の、話..』
その瞬間、表情には出さないものの、ルークは内心ドキッとした感覚に襲われ、緊張感が一気に駆け上がった