第64章 *開幕ボルテージ*

リリア『お主ら、ホリデーカードのお礼にと、VDCの招待状をあやつに贈ってくれたそうだな』


ユウ『はい。ホリデーカードの返事がなかったと拗ねられたので』


『そうじゃなくても、渡すつもりだったんだけどね』


リリア『言葉には出さんが、とても喜んでおった。わしからも礼を言う。誘ってくれてありがとう』


まるで保護者のような加護を纏った瞳で、リリアは笑顔を綻ばせた


ケイト『なになに？何の話？ユウちゃんたちって、ディアソムニアにも友達いるの？』


『お名前は知らないけど、ツノ太郎っていうあだ名で呼んでる』


ユウ『背が高くて、頭にツノが生えてるんですよ』


『『『！？』』』


ツノ太郎の特徴を挙げた瞬間、リドルたちの表情が驚愕と強ばりに満ちる



ケイト『..えーっと、それって..』


トレイ『この学園にいて、ツノがあるって、まさか..』


リドル『僕は１人しか思い当たらないけれど..』


３人の脳内に同じ人物が過る。それと同時に、その人物とユウたちが友人だということに疑いの念が生まれ始めた



リリア『おっと！ケイト。そろそろステージに行かぬと出番に遅れるぞ』


ケイト『あっ、ホントだ！』


リリア『それでは、わしらここで失礼する。ユウ、レイラ、VDCの成功祈っておるぞ』


ケイト『レイラちゃん、最後に抱き締めさせて♪』


『いいよ...ん..』


リリア『おっ、羨ましいのう。わしも良いか？』


『コウモリさんならいいよ』


二人は順にレイラとの抱擁を交わすと、手を振りながらその場から去っていった




リドル『そういえば、もうすぐ12時になる。ユウたちはVDCのリハーサルに向かわないといけないんじゃないかい？』


グリム『ふなっ！そうだった。遅刻したらヴィルに呪いのジュースを飲まされるんだゾ！』


トレイ『俺達もエースたちにチケットをもらっているんだ。応援しに行くから、頑張れよ』


リドル『うちの１年生たちに、"無様を晒したら首をはねてしまうよ"と伝えておいてくれ』


ユウ『伝えておきます！それじゃあ先輩方、失礼します』


『リドルさん、トレイさん、最後にギュッてして』


『『勿論』』


リドルたちとの抱擁を終えると、ユウたちは足早に会場へと向かっていった