第64章 *開幕ボルテージ*
『わっ...』
リドル『!!こら、チェーニャ!レイラを離すんだ!』
すかさずリドルの抗議が飛ぶが、チェーニャはそれを無視して腕の中のレイラをジッと見つめる
『ぁぅ...ゃ....』
チェーニャ『どうか怖がらんでくれにゃあ..』
慣れない相手からの抱擁に、レイラはチェーニャの胸に手を当てて押し返そうとするが、頭上から聞こえる少し寂しげな声に手の力が緩んだ
『猫、さん...なん、で?』
チェーニャ『ここに来たのは、ロイヤルソードアカデミーの生徒ってのと、リドルたちの顔を見に来たってのが理由にゃあ。
けどもう1つ理由があるんだがね。分かるかにゃ?』
『ううん..教えて?』
チェーニャ『..どーしても、もう一度おみゃーに会いたかった』
『ぇ...』
少し低めの声と意味深に細められた金色の瞳に驚きの声をあげると、チェーニャは直ぐ様離れて今度こそその体を消していく
チェーニャ『リドルたちの顔が怖いから逃げるにゃあ。ほな、また後で』
リドル『後で君には言いたいことが山ほどあるからね。あと、そのユニーク魔法で他の来場者を脅かしてはいけないよ!』
チェーニャ『そいつは俺の気分次第かにゃぁ~。フンフフ~ン♪』
そうして首だけになったチェーニャは最後にレイラを見てニンマリと笑うと、完全にその姿を消した
トレイ『ふう..やれやれ。それじゃあ最後は東校舎を見回って終わりにしよう』
リドル『そうだね、少し急ごうか』
『リドルさん、手..』
リドル『ああ、そうだったね。さっきは大丈夫だったかい?いきなりで驚いただろう』
『大丈夫。私の方こそ、リドルさんから離れてごめんね』
リドル『いや、僕の方こそ君をあっさり奪わせてしまって申し訳ない。まったくチェーニャってば...後でキツく言っておかないと』
トレイ『敵になると厄介かもな』
リドル『そうだね』
『???』
リドル『気にしなくていいよ』
自分達の幼なじみがライバルとして増えることに危惧した二人は、気合いを入れなくてはと互いの心の中で誓った