第8章 *先輩サウザント*
デュース『確かに...大丈夫なのか?ユウが不安になって困惑したのも頷ける』
グリムが説明したのは、八割程度。レオナが去った後の事は"ユウが不安に駆られ抱き締めた"というところまで
レイラに並々ならぬ想いをぶつけ、尚且つキスした等と話せば、そちらにエース達が食いかかると分かっている
同じく好意を持つエース達を傷つけない、レイラを傷つけない、そして何よりユウを傷つけない為に
何だかんだグリムも察しが出来てそこそこ気遣いも出来るようになった...多分
ユウ『(今度ツナ缶いっぱい買ってあげよう...)』
『大丈夫...ライオンさん優しかった。でもユウを不安にさせたから、気を付ける』
エース『(...なんかあったな)ま、それなら良いけどさ。うし、かなり沢山拾えたしこんなもんっしょ。トレイ先輩のとこ持ってこーぜ!』
ずっしりと籠いっぱいに入った栗を背負いながら、五人はトレイの待つ大食堂の厨房へと急いだ
大食堂・厨房
五人が厨房へと入ると、既に器具や調味料を用意し待っていたトレイが振り向く
トレイ『お帰り、随分と沢山拾えたな』
グリム『これならでっけータルトが作れるんだゾ!』
トレイ『まぁその分、これだけの栗を剥くのは大変だと思うが...頑張れよ』
デュース『これ、全部か...気が遠くなるな』
デュースは視界に映る栗だらけの世界に思わず頭を抱えた
トレイ『お菓子作りは下ごしらえが大切なんだ』
エース『へーへー、分かりました!こーなったらとことんやってやろーじゃん!』
五人はトレイの指示の元、魔法を使って剥く組と手で地道に剥く組とで分かれ作業を開始した
何とか全てを剥き終え、更に裏ごしの作業までを終わらせた五人は身体中に悲鳴を上げながらヘトヘトになっていた
トレイ『はは、お疲れ。苦労した分、きっと美味いぞ。このマロンペーストにバターと砂糖を加えて、最後に隠し味のオイスターソースを適量加える』
『『オイスターソース!!??』』
トレイ『そうそう、カキからたっぷりでた旨味がクリームに深いコクを与える。このセイウチ印のヤングオイスターソース。有名パティシエならタルトにこれを使わない奴はいないぞ』