第8章 *先輩サウザント*
〔No side〕
レイラは黙ってユウがポツリポツリと溢すように紡ぐ想いを聞いていた。時折、彼の背に回した手で背中を擦ったりしながら
話終えて、顔が見えるまで体を離すと今にも泣いてしまいそうな程に辛い表情のユウに、レイラは彼の頬に手を添え額を合わせると、そっと目を閉じた
『笑わないよ...』
ユウ『嫌いにならないで...』
『ならないよ...どんなユウでも好き』
ユウ『僕もレイラが好き...』
『ごめんね...ユウが辛いのは私のせい』
ユウ『違うよ。君の信頼できる人が増えていくのは絶対に悪いことじゃないんだ。僕が勝手に嫉妬してるだけ...』
『...あのね、ユウ。さっきライオンさんとあのまま一緒に過ごしてもね、他の人や、エースやデュースと過ごしても...最後はきっとユウの隣に帰りたいって思うよ』
ユウ『レイラ....』
『自分を責めないで...』
そう言って触れるだけのキスをすると、ユウの顔が先程までより幾分か明るく見えた
一方、初めて二人のキスを見たグリムは真っ赤になりながら手で顔を覆い隠していた
ユウ『ありがとう...本音を言えたら少しスッキリした...』
『良かった...またモヤモヤしたら言って。直せるところは直す』
ユウ『分かったよ。さ、目的の物を探しに行こうか』
『ん』
いつも通り手を繋ぎ、捜索を再開しようとした矢先、
エース『おーい!あっちに籠とトングがあったぜ~』
デュース『三人ともどうかしたのか?』
グリム『ハッ、そうだ。栗拾い!いっぱい拾わないとタルトの食いぶちが減るんだった。怖い管理人さんの話は栗を拾いながらするんだゾ』
道具を揃えた五人は再び学園裏の森へと戻っていった
学園裏の森
グリム『てことがあったんだゾ』
エース『いや、絶対そいつ管理人じゃないっしょ』
グリム『落ち着いて思い出してみればそいつの連れが黄色の腕章をつけてた。それにレイラに鯖寮に来いだの言ってたんだゾ』
デュース『鯖...?サバナクロー寮のことか。もしかしてナイトレイヴンカレッジって不良が多いのでは?』
エース『んなことよりレイラにいちゃもんつけて寮に引き込もうとしてるのが問題だろ』