第61章 *苦悩シャウト*
奥へと連れられていると、心配そうな表情をしたグリムとスカラビアコンビが小走りで駆け寄ってきた
カリム『レイラ、戻ってきたんだな!良かった良かった!オレたちすげぇ心配したんだぞ?』
ジャミル『まったく..お前はどうしていつもそう危なっかしいんだ。そんな怪我までして』
グリム『オレ様たちがどんだけ心配したか分かってんのか?』
『ぁぅ..ごめんなさい』
本気で心配している3人に、更に申し訳がたたなくなり、ただでさえも落ち込んで垂れていた耳がより下がっていく
カリム『レイラ。お前、過去の事が原因でさっきエースたちが喧嘩してる状況が酷く怖かったんだろ?』
『ぇ...どうして..』
カリム『ユウがそうなんじゃないかって』
ユウ『もし間違ってたならごめん。でも、今までの傾向とレイラの過去を照らし合わせると辻褄が合うんだ』
『..ん、そう。私、おっきな声とか、本気の喧嘩見ちゃうと、あの人達を思い出すの..痛くて怖くて、泣き叫びそうなくらい』
ジャミル『..俺達が守ってやる』
『え..?』
ジャミル『お前の前でまた同じようなことが起きたら、俺達がその場から逃がしてやる』
カリム『その前に喧嘩や争いを止められるのが一番なんだけどな』
ユウ『レイラがもう怖い思いをしなくて済むように、僕たちが守るよ』
『でも、それ迷惑じゃ..』
カリム『レイラ』
半ば遮るように声を重ねたカリムは、慈しみに満ちた瞳で頬に手を添えて優しく撫でる
カリム『もっと甘えてくれよ』
『あま、える..?』
カリム『ああ。お前はもっと周りに頼って、甘えていい。お前が望んでくれるなら、オレ達はいつだって力になるし助けるからさ!だって、オレ達はお前のことが大好きなんだから』
嘘偽りない眩しい太陽のような笑顔と言葉を向けられ、レイラの目からは静かに一筋の滴が伝い落ちた
カリム『!?だ、大丈夫か!?』
ジャミル『カリム、なに泣かせてるんだ』
カリム『オレのせいか!?あ、いや、オレのせいだよな。ご、ごめんな!なんかマズイこと言ったなら謝るから!』
ユウ『大丈夫ですよ、カリム先輩』
カリム『へ?』
『ん..違うの..ただ、嬉しくて...』