第60章 *反発アイデンティティー*
いつものエースの軽口に、デュースは今までにないほどの激昂を見せた。その余りの変容にエースは戸惑いが隠せないでいた
エース『えっ、何で急にキレてんの』
デュース『"要領が良い"お前には、分かんねぇよ!』
ユウ『デュース!!』
苦しそうな叫びを残し、デュースもボールルームを走り去っていった
エース『はぁ~~?なんだよあれ。意味分かんね』
ユウ『エース、今のはちょっと無神経かも』
グリム『オメー、もうちょっと相手の気持ち考えた方がいいんだゾ』
エース『それ、グリムにだけは言われたくねーんだけど?つーか、何で出来てる方が足引っ張ってるやつに気を使わないといけないわけ?同じだけレッスンしてんだし、出来ない方が悪いじゃん』
納得いかないといった様子で顔をしかめるエースに、ユウたちは呆れたため息しか出なかった
ユウ『何でこうなるかな..』
エース『なんかオレが悪いみたいになってね?なあ、レイラも何か言ってよ...って、レイラ?』
いつもユウの隣にいるはずの姿が見えずボールルームを見渡すと、先程までユウたちがいた部屋の端に座り込んだままのレイラを見つけた
ユウ『レイラ、大丈夫?』
ピクリとも動かないレイラを心配して、ユウが近寄ってそっと肩に触れる
『...っ...ぅ..ぇ..ぅぇぇぇぇっ..』
ユウ『!!』
『ぅぇぇぇぇっ..!!ぅぁぁぁぁっ!!』
『『『!!??』』』
突然大粒の涙を流しながら泣き声をあげるレイラにこの場にいる全員が驚いた
ユウ『え?レイラ?ど、どうしたの?』
グリム『エース!!オメーのせいでレイラが泣きわめいちまったじゃねーか!』
エース『はぁ?またオレのせい!?』
泣き出したレイラの元に、エースや心配したスカラビアコンビが駆けつける
カリム『どうしたどうした?泣くほど怖かったか?』
ジャミル『とりあえずゆっくり息をはいて落ち着け』
『ぅっ..ふっ..ひぐっ..おっきな声..ゃ..ケンカ、も..ゃ...』
ユウ『!...もしかして..』
エース『お、おーい..レイラ?』
『っ...!!エースのバカっ!!!』