第43章 *空漠オーバーロード*

ジャミル『おらぁ！！』


魔人の手から生み出されたエネルギー体はいくつもの閃光となり辺りに四散し、次々にユウたちの頭上に降り注ぐ弾丸の雨となる


グリム『ふに"ゃぁぁぁぁ～～！！おいこれ、避けるのに精一杯なんだゾ！！』


アズール『っ..！確かにっ、そうですねっ！！』


『わわわっ..きゃっ..！』


ユウ『レイラっ！』


『大丈夫、ギリギリ避けた..』


無尽蔵に降り注ぐ攻撃に、アズールたちは防戦一方という形に追い込まれる


ジャミル『どうしたカリム、俺を殴るんじゃなかったのか？手も足も出ないとはまさにこの事だな、ははははっ！！』


カリム『くそぅ..おわっ！っとと、やっぱジャミルは強い』


グリム『感心してる場合じゃないんだゾ！このままじゃオレ様たちその内やられちまうんだゾ！！』


アズール『みなさん！ひとまず柱の影へ！』



急いで各々近くに見えた柱の影に避難するも、ジャミルは攻撃の手を緩めることなく、ありとあらゆる方向へと閃光を放ち続ける


『うぅ..っ..』


アズール『っ..大丈夫ですか？』


アズールは偶然同じ柱に隠れたレイラを閃光から守るように抱きしめていた


『大丈夫..アズさんは』


アズール『ええ、なんとかもっている状態です。ですが、このままでは埒があきません。急がないと我々は勿論ですが、ジャミルさんの命も危うい』


『...アズさん、』


アズール『黒ウサギを呼ぼうなどと思わないでくださいね』


『え..どうして..』


アズール『やはりそう思っていたんですね。ですが絶対にさせませんよ。貴女や周りの話を聞くに、黒ウサギを使うほど貴女の疲労も負担もブロットの溜まり具合も大きくなってきている。そんな危険な真似はもうさせません』


『アズ、さ..』


アズール『どうか使わないでください。愛する貴女を失いたくはない..』


真剣そのものの瞳に射抜かれ、レイラは大切にされている幸福感と同時に、彼の真剣さに応えなければという強い意思が芽生え、強く頷いてみせた


『..っ、分かった..』


アズール『ありがとうございます。さて、言った手前ですが、ここからどうやって対抗しましょうか』


『..考えがあるんだけど..』