第34章 *閑話カームデイ5~ジャック~*
『すー...』
ジャック『本当に無防備だな..』
俺に何もされないとでも思ってるのか、呑気な顔で俺の腕の中で眠るレイラが小憎らしい
だが警戒心の強いこいつにここまで心許されて身を委ねられるのは悪い気はしねぇ。いつも遠目で羨ましそうに見てくる他のやつらにはこの顔は見ることはできない
ほら、今も木の影からこっちを見てるお前らのことだよ
姿は見えなくても匂いと音で嫌ってほど分かる。大方お目当てのこいつが俺と二人きりでいるのが気になってこっそり見てるんだろうが..
レイラの寝顔は..いや、レイラ自身を今だけはあいつらに見させたくない。この時だけは俺だけの特権だ..
好きと伝えちまったんだ。もう遠慮することはねぇ..俺は欲しいものを真正面から全力で取りに行く
ジャック『..移動するか』
とりあえず二人の時間をこれ以上邪魔されないよう、オンボロ寮に運び込むことにした
あそこなら周りのやつらも近づかないし、何よりレイラも普段寝てるベッドの方が安心するだろう
起き上がりつつ、そっと起こさないようにレイラを横抱きにすると、こそこそしてるやつらに一睨み効かせて俺はさっさとその場を後にした
オンボロ寮
ユウ『やあ、いらっしゃい』
ジャック『悪いな、いきなり来て。レイラが寝ちまったからベッドに寝かせてやりたいんだが、俺も入っていいか?』
ユウ『勿論いいよ。さ、あがってあがって』
ユウの案内でベッドのある部屋に通されると、そこには以前来た時にはなかった2つ目のベッドが目に飛び込んできた
ジャック『どっちに寝かせりゃ良いんだ?』
ユウ『窓側の方は普段使ってないから、もう1つの方に寝かせてくれる?』
ジャック『分かった』
ユウの指示通りのベッドにそっと寝かせて布団を被せ、横に腰掛けながら優しく撫でてやる
ユウ『"ジャックのモフモフ楽しんでくる"ってテンション高かったのに、寝て帰ってきちゃうなんてレイラらしい』
ジャック『よく寝るのかこいつ』
ユウ『最近はそうかもね。多分ここ最近の疲れが響いてるんだと思う。僕が不甲斐ないせいでこの子の負担が大きいから、出来るだけ休めるときは休ませてあげたいんだけどね』