第28章 *水中ビギナー*
ラギー『あのねぇジャックくん。意識高いのは結構っすけど、君ら地上でもアズールくん達に歯が立ってないじゃないっすか』
ジャック『うぐっ、それは..』
レオナ『大体なぁ、あいつは何も知らない草食動物を騙して、身ぐるみ剥ごうって悪党だぜ。遠慮する必要がどこにある?卑怯だろうが、場外乱闘だろうが、契約が無効になりゃこっちの勝ちだろうが』
ラギー『くぅ~っ、さすがレオナさん。骨の髄まで卑怯者!』
ユウ『前回の反省、してませんね?』
『なんか吹っ切れてるよ、二人とも』
レオナ『言ったろ?俺はいつだって全力を尽くす、ってなぁ』
ジャック『目には目を、歯には歯を、か』
『はにわ?』
ジャック『はにわじゃねぇ。よし、残り二日、全力でアズールに張り付いて契約書を破るチャンスを狙うぞ!』
ユウ『みんな頑張ろう!』
レオナ『じゃ、せいぜい頑張れよ一年坊主ども』
グリム『えぇっ!?あそこまで煽っといて、協力はしてくれねーのか!?』
レオナ『レイラが契約したわけでもねぇのになんで俺が。サービスでヒントは与えてやっただろ。後はてめぇらで勝手にやれ、じゃあな』
ラギー『ってわけで、オレもここで。4人とも頑張るっすよ~』
手をヒラヒラさせながら談話室を颯爽と立ち去っていく二人の背に、薄情者~!というグリムの声が響き渡った
サバナクロー寮・廊下
吊り橋のような廊下をギッギッと音を立てながら進んでいくレオナに、ラギーは後ろから笑みを浮かべたまま話しかける
ラギー『珍しいっすね、レオナさんがあんなに助言をしてやるなんて。レイラちゃんが関わってるからっすか?』
レオナ『あん?』
ラギー『それとも何だかんだ、素直な後輩は可愛いってことっすか?』
レオナ『ばーか、そんなわけあるか。一年坊どもを上手く使えば、労さずしてタコ野郎の弱点を握れるかもしれねぇだろ。ま、それほど期待はしてないが』
ラギー『なるほど、さすがっすレオナさん』
レオナ『あの草食動物がどうなろうとどうでもいいが、レイラに何かあることになれば』
ラギー『すぐに助けに行く..っすか?』
レオナ『タコ野郎みたく条件付きに、だがな』
ラギー『シシシッ!そりゃあいいっすねぇ』