第28章 *水中ビギナー*
レオナ『当たり前だろーが』
ラギー『リーチ兄弟はアズールくんの手下で、契約者から担保と代償をきっちり取り立てることで有名っす。契約の達成条件をクリアできないよう邪魔をしてくるって噂もね』
なんて卑怯なやつだ、とグリムは憤ると同時に、失敗したときの自分の身を不安に思い涙目になる
ユウ『オンボロ寮がとられちゃったらどうしよう..』
『帰るとこ、なくなっちゃうの..や..』
レオナ『...』
ラギー『レオナさん?』
レオナ『アズールのユニーク魔法は"黄金の契約書(イッツ・ア・ディール)"特別な契約書にサインを取り付ければ、その対象から能力を1つ取り上げられる。
しかも、契約違反が生じた場合、違反者はアズールに絶対服従状態にされちまうって話だ』
ラギー『発動条件が難しい魔法ほど、効果が大きいっていうけど..タチ悪いっすよね~』
レオナ『取り上げた能力は契約書に封印されていて、アズール本人はいつでも使えるらしい』
ジャック『!!じゃあ、アズールが難易度の高い魔法を何種類も使いこなしてたのは、まさか..』
ラギー『十中八九、契約者から担保として奪った能力でしょーね』
ジャック『なんてやつだ!何から何までインチキってことじゃねぇか!』
ラギー『ユニーク魔法自体が超レベル高いんで、全部インチキとも言いきれないっすけど』
レオナ『俺も能力を担保に取引したことがないから、どういう理屈かはよく知らねぇが』
『じゃあ、あの時は何を担保にしたの?』
レオナ『グルル..何だっていいだろうが。思い出させるんじゃねぇ』
グイグイと服を引っ張り前のめりに聞こうとするレイラを押し戻すことはせず、体を反転させ後ろから抱き締めたまま話を続けた
レオナ『で、だ。その特別な契約書がある限りアイツとの契約は継続する。だからアズールは、言葉巧みに契約を持ちかけ..』
ラギー『達成不可能な条件でサインをさせる..ってわけっす』
レオナ『アズールに勝つ一番の方法は、"契約しない"ってことだな。お前みたいにな..』
『私、偉い?』
レオナ『あぁ、良い判断だ』
ラギー『昨日から尻尾上がりっぱなし..分かりやすいっすね(小声)』
ユウ『ちくせう..』