第5章 *登校プレッシャー*
『待って..綺麗な蝶々さん』
ヒラヒラと飛んでいく蝶に手を伸ばしながら、追いかけていたレイラだったが、蝶に気を取られていたせいか、校舎の角から出てきた人物に気がつかず、ぶつかりそうになった
?『っと危ねぇ..』
『わっ..』
幸い寸前に互いに気がつき、すんでのところで身をかわした為、ぶつかる事は免れた
?『ったく危ねぇな。気をつけろ、ってお前昨日の』
その人物はこちらに振り返り、文句の一つでもと口を開いたが、レイラの姿を見ると驚きに目を見開いた
『フワフワ...ワンちゃん?』
レイラの目の前にいたのは、頭から髪と同じ銀の毛色をした大きな獣耳と尻尾が生えた青年だった
?『あ?俺は犬じゃねぇ!狼だ!』
低く唸るような圧のある声に、レイラはビクッと体を震わせた
『(あ..どうしよ..ユウ、いない..怖い)』
?『おい、なんか一言ぐらい言ったらどうなんだ』
『え..あの。ごめん..』
?『あ?なんも聞こえねぇよ』
眉間にシワを寄せながら近づいてきた青年に、レイラは軽くパニック状態になっていた
『や..あの、ご、ごめん..っ!』
?『っ!!!』
すると彼女の周りからバチバチっ!!と電流が駆け巡り、その事に驚いた青年は反射的に後退りした
『どうしよ..また..ごめんなさいっ..ごめんなさい』
涙目で慌てる彼女に、最初は驚いていた青年はハアとため息をつくと、彼女に視線を合わせるようにその場で片膝をついた
?『おい、落ち着け。なにもしねぇから』
『ぁ..ぅ。ん..』
青年の言葉に、レイラ徐々に落ち着きを取り戻した。それと同時に彼女を取り巻く電流がフッと消えた
?『ったく、魔力はすげえ感じるのにまるで使い方が分かんねぇって感じだな』
『ごめん..怪我とか、ない?』
?『なんもねぇよ。それよりお前、昨日の入学式のタヌキみたいなのを連れてきた奴だな』
『あれ、多分猫さんだよ』
?『それはなんでもいい。とりあえず、もう余所見して歩くな』
『ん、ごめんなさいワンちゃん』
?『だから犬じゃねぇ!俺はジャックだ。ジャック・ハウル』