第112章 *閑話カームデイ13 ~騎士’s~*
サアっと涼やかな風が3人の間を吹き抜ける。真っ直ぐ見下ろす瞳には悪意や侮蔑は全く感じられず、言葉の通り純粋に理由を知りたがっているだけだった
真面目で根が優しい彼だからこそ、弱っている中、今更辛い記憶を思い起こす必要はないと、身を案じてくれる温かな思いに、レイラは改めて心が揺すられた
『...私が話したいのはね、知ってほしいの。
2人ともっと仲良くなりたい。一緒にいたいから、私のことをもっと知ってほしい。それだけ』
『『....』』
『ほんとに、それだけ』
自分よりも大きな手を強く握りしめ、2人の顔を順に見つめる。他にはなにもない。ただ自分を知ってほしいのだと願いを口にすると、セベクは"分かった"と空いている手で黒髪を優しく撫でた
セベク『お前は以前、相手を知らないから恐れを抱くと言っていたな。だから傷つけ合わないように、相互理解する必要がある、と』
『ん』
セベク『その考えは否定しない。事実、それによって相手と関係が変わったことは、この身で体験済みだからな。だから、今回もお前が僕たちと良好な関係を築きたい、という願いで話したいと言うなら聞いてやろう』
『ありがと』
シルバー『..変わったな、お前も』
セベク『そういう貴様は変わらんな。
...変わらず素直に好意を伝えられ、大切な者を守ろうとすぐに行動するところは』
一種の嫉妬や羨望とも取れる視線に困ったように笑うと、小さな手を握り返し学園に向かっていた足を別方向へと変える
『どこ行くの?』
シルバー『コロシアムの手前に小さな森がある。いくら周りに人気がないとはいえ、ここは往来の道。いつ誰に聞かれるかも分からない中で話すわけにもいかないだろう』
セベク『賛成だ。偶然耳にした連中が良からぬことを考えるかもしれないからな』
『ん』