第109章 *ツイステ7章 ー最終戦ー(現実世界)*
セベク『っ、ぐわぁぁぁぁっ!!』
石畳に体を打ち付けながらもなんとか受け身を取ると、すぐさま横から剣を構えたシルバーが前へと飛び出していく
シルバー『!セベク、下がれ!
………はっ!!』
業火の残り火が視界を防ぎ、放ちきったそれが晴れた瞬間、シルバーの目の前には牙の生え揃った漆黒の大きな口が迫り、闇色の奥からはあの鮮やかな炎の先が見え隠れし、今にも放たれようと燃え盛る
この至近距離で喰らえば鎧を身に纏っていても間違いなく怪我では済まない
しかし完全に虚をつかれたシルバーは眼前に広がる炎をただ見ていることしかできなかった。セベクは後方に倒れていて、もはや自分を守ってくれる者は誰もいない。迫る死の気配に、これまでの想い出が走馬灯のように鮮やかに甦る
シルバー『(..俺ではだめだったのか?マレウス様を止め、皆を救い、俺たちの日常を取り戻す。その願いは俺には過ぎたことだったと..?
このままでは、俺たちの..皆のこれまでの旅と戦いが、全て無駄に終わってしまう...
親父殿....)』
『諦めないで、シルバーさん!!!』
シルバー『!!!』
この場にいないはずの人物の声にハッと薄まりかけた意識が覚醒する。視界の端で揺れる小さな体は、その手に溢れんばかりの光を握りしめながら全力でこちらへと駆けてくる
『ごめんね妖精さん。でも、今だけでいいから力を貸して。あのヒトを..マレウスを助けるために、ちょっとでいいから力を貸して!!』
握りしめたブレスレットとお守り、そして首にかけていたネックレスに手をかけブチッと引きちぎると、全てを1つに手の中で包み込み、走る勢いを止めずにそのままマレウスの口めがけて思いっきり投げつけた
同時にマレウスの口から業火が放たれ、シルバーの体が迫る緑の色で照らされていく
そんな彼と炎の間に割り込むように、投げ込まれたお守りたちがシルバーよりも先にその炎に触れた
その瞬間、まるで時限爆弾かのように、お守りたちは光を放ちながら、膨れ上がった魔力を解き放ちマレウスへ向けて爆散した