第109章 *ツイステ7章 ー最終戦ー(現実世界)*
『.....ここ、は..?あっ、やっぱり寮の外。シルバーさんたちは......いた!』
光の扉を潜り抜け眩い輝きが消えたことに目を開けると、そこは予想通り暗雲立ち込めるディアソムニアの寮前。少し離れた石橋の上ではハルモニアフレームに身を包んだシルバーとセベクがマレウスと対峙していた
咆哮と共に魔力を帯びた炎が2人に放たれ、セベクの美徳の盾がそれを防ぐ。そしてその間に距離を詰めたシルバーが飛び上がり、角へ向けて剣を振りかざした
しかし大きな翼を広げて飛び立たれてしまい、その剣は虚しくも空を切る
シルバー『くっ...!』
マレウス『お前も同じだ。いかにそれが唯一、僕に傷をつけることのできる剣とはいえ、当てられなければ意味はない。
無駄に足掻くな愚か者!!』
シルバー『ぐはっ!!』
太くしなやかな尾が迫り、シルバーは地に叩きつけられた。鎧と受け身のおかげでなんとか大事には至らなかったが、それでも振り下ろされた尾の威力は凄まじく、叩きつけられた体中からは悲鳴が上がっていた
セベク『シルバー!!』
オルト『シルバーさん!!』
『!!どうしよ、シルバーさんもセベクもすごくにボロボロになってる。なにか、なにか私に出来ないの...?』
ドラゴンの鱗はあらゆる魔法を通さない強靭さを持ち、だからこそ人では作ることのできない魔力を秘めたミスティウムと、硬度を持ったリリアの魔石器を使わなければ勝てない
頭では分かっていても、目の前で傷ついていく2人をただ見ることしかできない自分に酷く苛立つ
『..黒兎は昔、世界中のみんなから愛されたり怖がられたりするほど、強くて優しくて力をいっぱい持ってる人たちだったのに..私はその黒兎なのに..どうして何もできないの。
どうして大事な人を守れる力がないの..』
悔恨が胸にくすぶり涙すら滲み出していく。かつて、破壊の神/希望の神として人々に様々な感情を向けられていた者達の末裔だというのに、今の自分には2人と並んで戦える力がない
信じて見守ることも大切だと知っていても、それが返って自分の無力さを突きつけられていた