第108章 *ツイステ7章 ー最終戦ー(夢世界)*
漂ってきた自分好みの匂いにホッとしていると、ふと視界の端に黒い物がピコピコ動いているのを見つけ、よく見ると動いていたのは兎耳でレイラがジッとこちらを見上げていた
全く気配なく真横に座り込まれ、声にならない叫びを上げてひっくり返りそうになるのを気合でなんとか持ち直すも、心臓はバクバクと音を立てて冷や汗がドッと吹き出す
イデア『ヒッ、ヒヒヒヒロイン氏!?何故拙者の横に!?てか何の用!?びっくりし過ぎて寿命縮むかと思いましたわ!』
『ご、ごめん。邪魔するつもりじゃなかったんだけど...お月さま、この匂いは好き?』
イデア『へ?あ、うん。好きだけど...え?これ、もしかしてヒロイン氏の匂いなの?
へ、へえ〜..良い香水使ってますなぁ....』
『これ、黒兎の匂いなの』
イデア『え?』
『その人の好きな匂いに変わるんだって。
...黒兎を恨んでる人は、この匂いが人を"あやつる"からって嫌がるけど』
イデア『はぁ?この最高・オブ・スメルが嫌と?匂いで人を操れるとかどんな.....ああ、なるほどね』
実際に嗅いだからこそ分かる、一度味わってしまえばまた求めずにはいられない。人を惹きつける力を持った特別な匂い。人はそれに溺れ、無意識に求め、その匂いを得るためにやがて黒兎に付き従うようになってしまう
それがどこかで捻じれた結果が、人を使役し操る魔の力だと恐れるようになったのではと、ぼんやりとした仮説に、黒兎が恨まれる理由の一端がその程度でのことで?と急にバカバカしく思えた
イデア『(もしそれが本当なら、昔の人間たち無能過ぎんか?理由がくだらなすぎでしょ)
そ、それで?いきなりなんでその匂い出したの?』