第108章 *ツイステ7章 ー最終戦ー(夢世界)*
その呪文と共に黒いインクが魔法石を染め上げ、ヴィルの体を黒い風が包む。徐々にその姿も黒く染まりだし、辺りに強大な魔力のプレッシャーが充満していく
そして風が晴れると、そこに立っていたのはVDCで見せた禍々しくも美しい、オーバーブロットしたヴィルの姿だった
ユウ『ほんとにニチアサみたいなことしおった..でも、ヴィル先輩だからバッチリ決まってる』
『すごい....』
イデア『プロの変身シーンキタコレ〜〜〜!!!やっぱポーズのキレが違いますわ。S.T.Y.Xがブロットの研究をしているからこそ開発できた装備...オーバーブロットフォーム!
魔力、魔法の威力、ブロット耐性..全てにおいて、通常時より強化されてる。どう?どう?変身してみた感想は?』
ヴィル『そうね。確かにこの姿は最強の自分には違いないけれど..実に複雑な気分だわ』
かつての醜い自分の欲や絶望を体現した姿に素直に喜ぶことはできない。しかし、あの時とは違い理性をなくした負の権化ではなく、強力な味方というこの状況では、寮生であるルークとエペルにとっては心強い以外のなにものでもなかった
『『うわぁ....!』』
エペル『VDCの時は、戦うことに必死だったっていうか...このままじゃヴィルサンも僕たちも命が危ないって状態だったから、冷静に見られなかったけど...こうしてちゃんと見ると、本当に...
たげ怖い』
ヴィル『なんですって?』
エペル『でも、ただ怖いだけじゃなくて..すごく綺麗だ』
ルーク『そうだね。ヴィルのその姿を見るとあの日の記憶が甦り..鋭い氷で貫かれるような痛みが、私の胸を襲う。けれど己の影を、欲望を受け入れた今の君は、あの時よりずっと強く美しい。
まさに、毒の君...猛毒を持つ花の美しさだ』
ヴィル『ふっ..アタシの美しき毒で、ドラゴンの炎の吐息すらも凍らせてあげるわ』
『あの、ヴィルさん..』
ヴィル『ん?』
『すっごくカッコよくて綺麗だよ。あの時は違ったけど、今のヴィルさんだからこんなにキラキラしてるんだと思う。ほんとに、素敵..』
ヴィル『あら。可愛いファンの声までもらっちゃった。これはなおさら気合を入れて臨まないといけないわね』