第107章 *到着スカーレット(リドルの夢)*
ケイト『ありゃりゃ?ユウちゃんとレイラちゃん、向こうでずっと抱き合ったまま動かないけど..大丈夫なのかな?』
トレイ『ああ、少し心配だな。いつもならレイラがこっちに来たくて走ってくるのを、ユウが苦笑いしながら追いかけてくるのが目に見えているのに..』
リドル『ああ、そうか。あの2人も来ていたのだったね。彼らにもお礼を言っておかなくては。
特に彼女には...........はっ!』
少し離れた先でユウに抱かれてぐったりとしているレイラをその目に映した瞬間、先程までの自分の言動が一気に蘇った
口を開けば溢れ出る誹謗中傷の言葉の数々。かつて母親から毎日のように聞かされてきた、黒兎の悪行と彼らが招いたとされる戦争や事件の歴史に、いつしか自分も酷く憎悪を向けるようになり、先程の戦いの中ではその感情を抑えることなく吐き出し続けた
その度に深く傷ついていく顔を鮮明に思い出し、リドルは全身から血の気が一気に引いていくのを感じていた
リドル『ぁ、ぁぁ....っ、ボクは、ボクは..っ!』
トレイ『どうしたリドル!?顔も唇も真っ青だぞ』
ケイト『体もブルブル震えちゃってるじゃん!一体どうしたの!?』
リドル『ボクは、なんてことをしてしまったんだ...』
トレイ『...もしかして、レイラに酷いことを言ったのを思い出したのか?』
リドル『ボクは一度、彼女を深く傷つけてしまった。そのせいで過去の傷を思い出させ、今も深く苦しむ原因を作ってしまったというのに..
彼女は、レイラはそんなボクを救ってくれるだけでなく、優しく笑いかけて親しくしてくれて...大好きだよと言ってくれたのに。
ボクもそんなレイラを"愛して"たのに..っ!』
『『!!』』
ポタリと地面に落ちた雫は次々と目元から溢れ、次第に乱れていく呼吸が心臓を忙しなく動かしていく
リドル『黒兎への偏見の歴史は間違いだったと、もう二度とあのような言葉で彼女を傷つけはしないと、心から誓った!!
なのに、甘い夢に浸り自分勝手に振る舞った挙げ句に、あの時よりも酷いことをたくさん浴びせてしまった!自分で決めたルールなのに全く守ることができなかった!!』