第107章 *到着スカーレット(リドルの夢)*
その中で、オルトとデュースは互いに顔を見合わせる。ギアの装備で目は隠れているが、その奥にあるであろう兄と同じ月色の瞳には、自分と同じ気持ちが宿っているのだと感じ取り、2人は小さく頷いた
オルト『..君は本当に不思議なヒトだね』
『え?』
オルト『大切な誰かのため..ヒューマノイドの僕でもその気持ちは理解できる。だけど、ここまで強い感情となって戦いへと突き動かす君の想いは、そんな簡単な言葉で片付けるには軽すぎる。
全ての生き物を見てきたわけじゃないけど、今まで会ってきた中で君ほどの想いを持ってるヒトはそうそういないだろうね』
涙で震えた手を取るその口元は優しく柔らかい弧を描いていた。機械であるはずの硬い手にほんのりと温もりを感じ、レイラはまた1つ雫を落としてその顔を見上げた
オルト『分かったよ。僕たちと一緒に、リドル・ローズハートさんと戦おう』
『ーーーっ!!』
ユウ『ちょっとオルト。条件のこと、なしにするつもり?』
オルト『ユウさん..』
ユウ『1番の役立たずが言うのもなんだけどさ、きっと今までにないくらい傷つけられるんじゃないかって心配してるの。個人的な意見で申し訳ないけど、もうこの子が傷つくのは見たくないんだよね』
デュース『ユウ..』
『ユウ』
どこか怒っている雰囲気に少し躊躇しつつ、近寄りそっと抱きつくと、すぐに包み込むような温もりが返ってくる
『お願い』
ユウ『や』
『それ私の真似?』
ユウ『うん』
『そっか...いつも守ってくれて、心配してくれありがと。きっとすごくケガするし傷つくし、泣いちゃうかもしれない。でもやっぱり私、あの人を助けたいよ。
嫌われてても、恨まれててもいい。それは後で考えるから、今は早くあの人を起こしてあげたい』
ユウ『.....(僕って、ほんと肝心な時に自分を突き通せないんだよなぁ..)
途中で怖くなったり、もうやだってなったら、いつでも逃げていいんだからね』
『ん。ありがと』
遠回しのOKをもらい、小さく笑い背伸びで軽いキスを贈ると、そっと腕から抜け出していった。その名残とキスの感触にまたため息をつくと、デュースたちの元へ戻っていく背中を静かに見送った
ユウ『(どうせ君は、絶対に逃げたりしないんだろうけど..)』