第107章 *到着スカーレット(リドルの夢)*
デュース『た、たしかにそうだが..それじゃあお前の負担がデカすぎるだろ。体だって本調子じゃないのに....』
オルト『レイラさん』
エースたちが狼狽える中、ふわふわ浮かびながら近寄ると、オルトはこれまでで一番穏やかな声色で話し始めた
オルト『僕のことも考えてくれてありがとう。君の提案はとても嬉しいよ。でも、あの条件のことを忘れちゃったかな?』
"だけど、基本的に戦闘には参加しない。できるだけ安全な後方にいる。常に誰かが側にいて守る。逃げられるときには誰よりも先に逃がす。
これが条件だよ。いい?"
この階層に辿り着いた際に交わした条件。それは謎の苦しみに苛まれるレイラを守るための彼らからの優しさ
それと同時に、この局面でレイラの足を止める邪魔な枷にもなっていた
一度約束してしまった手前、彼らの純粋な優しさや愛情を簡単に破るわけにはいかず、悔しさに無意識で唇を噛み締めた
オルト『これはここにいる僕たちだけじゃなく、あそこで捕まってるシルバーさんたちの願いでもあるんだ。それに、君にもいざという時にユウさんたちを守って一緒に逃げてほしい』
『でも、私だって...』
ユウ『レイラ』
『ユウ..』
ユウ『言うこと聞いて。"良い子"だから..ね?』
『..........ゃ』
ユウ『レイラ』
『や!!良い子じゃない!良い子なんかじゃない!いつもみんなに守られて、助けられて、自分じゃなんにもできない。誰かを助けたくても、他の人がそれをして、私はなんの役にも立たないで見てるだけ。
リドルさんはとっても強いから、きっとまた私は何もできないかもしれない。でも、それでもいいから、少しでも役に立ちたい!..っ、あの人を..ぐすっ、助け、たいのっ!
私も連れてって...お願い、オルト..っ!』
願い込めた想いは段々と涙声になり、ポロポロと光る雫が零れ落ちていく。痛いほどの想いに全員口を閉ざし、複雑な感情の狭間で大きく揺れていた
オルト『....』
デュース『.....』