第107章 *到着スカーレット(リドルの夢)*
ユウ『これって、イデア先輩のタブレット?』
オルト『うん。もし僕たちに何かあった時は、これを持ってどこかに身を隠して欲しいんだ。確約はできないけど、いつか兄さんやS.T.Y.Xからの通信を受信する可能性がある』
エース『じ、じゃあみんなでどっかに身を隠して、通信が入るのを待った方がいいんじゃね?』
オルト『いや、回線復旧を待つ時間はない。その間に、捕らえられている人たちは全員リドルさんの手によってロストさせられるだろう。
今、この状況を僕たちが打破できなければ、寮長クラスのレオナさん、ディアソムニアの中核を担うシルバーさんとセベクさん..さらにハーツラビュルの戦力は、丸ごとロストしてしまう。
そうなれば、最終決戦における勝機は一層薄れることになる』
『(私は...私は、何ができるんだろ..?みんなが真剣にお話してるときも、こうやって1人だけ休ませてもらってる。まだ頭痛くて体も重くて苦しい。こんな私が着いて行っても、2人の足を引っ張っちゃうのは分かってる。
でも私は...見ているだけは..)』
デュース『そんなこと、絶対にさせねえ!』
エース『オルトが盾担当で、デュースが攻撃担当....で、オレは何担当?』
オルト『エース・トラッポラさん。君には万が一の時にユウさんたちの逃亡の手助けをお願いしたいんだ』
その瞬間エースの目が大きく見開かれる。それは戦闘に参加しなくてもいいという喜びによるものか、戦力外と遠巻きに言われたことへの落胆によるものかは分からなかったが、その瞳は動揺を映し静かに揺れていた
エース『えっ?オレ..リドル寮長と戦わなくていいってこと?』
オルト『うん。君ならもしもの時も必ずうまく切り抜けられるでしょ?作戦が失敗した場合の撤退の手引きや、リドルさんの狙いがユウさんたちに及んだ場合の対処などは、君にかかってる。
今のリドルさんの場合、特にレイラさんに対しては苛烈になっているからね』
エース『あー、なるほどね。薔薇の迷路のマップが頭に入ってなきゃ逃げられないし、何より..いざって時にはグリムだけじゃ不安だもんな』
ユウ『(..なんか、エース)』
『(すごく焦ってる?それとも、怖がってる...の?)』