第107章 *到着スカーレット(リドルの夢)*
黒いモヤが体を包み込むと、瞬く間にエースの顔や体は真っ黒に染まった。それは先程までリドルの命令に従い、彼を夢から醒まさせないように甘い言葉を吐いていた闇のエースの姿だった
一方、曲がり角に身を隠し様子を見ていたグリムたちは、まさかの事態に心臓が早鐘を打った。まさか今まで気がつかずに、敵である闇と共に逃げていたことに焦りが一気に駆け上がる
グリム『ふなっ!?あのエース、闇だったのか?』
セベク『まさかあの混乱の中で本物になりすまし、僕たちを袋小路へ誘導していた..?くそっ、騙された!おい、ユウ、グリム、レイラ。ここから離れるぞ』
グリム『離れるったって、後ろは行き止まりなんだゾ』
ユウ『ちょいちょい、ちょっと待ってセベク。もう少しだけ様子を見よう。決めつけるのはまだ早いと思う』
『..あのエース。黒いけど...なんか違う』
デュース『エース、てめぇ....』
目の前で真っ黒に染まったエースをピーコックグリーンの瞳が鋭く睨みつける。敵である闇を目の前にして戦いを挑むのかと思われた
しかし、その険しい表情は一瞬で安堵に包まれた
デュース『なんだ、ビビらせんなよ!!』
ホッとした彼の体をモヤが包み込み、デュースの顔もエース同様真っ黒に染め上がる。仲間に会えたのかすっかり体のこわばりが取れた様子にエースの笑みが深まっていく
エース?『お前、もう誰か1人くらいは見つけたの?』
デュース?『いや、まだだ。お前は?』
エース?『オレは見つけたぜ。ユウと、グリムと、セベクと、レイラ。ヤツらオレのことを本物だと思い込んで、のこのこついてきちゃってさ。本当に間抜けなヤツらだよなあ?』
デュース『ははは!そりゃ傑作だな』
『『!!!』』
セベク『やはりあいつ、最初から僕たちを罠にはめるつもりで..!許せん!ならば先手必勝..こちらから打って出る!』
グリム『おう!ただでやられてたまるかってんだ!』
自分たちを騙して笑っている闇エースに怒りを露わにし、捕まる前に反撃しようと立ち上がる
ユウ『(なんかあのエース、違和感が..)いや、もう少し待って様子を...って、ちょっと待って2人とも!』
『!..だ、だめ。まだ行っちゃ..ぁ"ぅっ..うぐぅ..!』