第107章 *到着スカーレット(リドルの夢)*
エース『これって、オレらがリドル寮長に負けた世界?』
ケイト『なーに言ってんの?そもそもエースちゃんとデュースちゃんは、決闘自体には開始3秒で負けちゃってたじゃん』
『私も負けた..』
ユウ『拗ねない、拗ねない』
グリム『あの時はエースがルールを破って、リドルをぶん殴っただけなんだゾ』
ケイト『というよりこれは..』
トレイ『俺がリドルの魔法を上書きできずに、エースたちが直撃を食らった世界、か?』
デュース『!!そうか。あの日、寮長は薔薇の木を操ってエースをバラバラにしようとして..』
『トレイさんがユニーク魔法でトランプに変えてくれたんだよね。だから、みんな無事だった』
ユウ『でも、この夢だと無事では済まなかった。さっきチラッと聞こえたけど、"暫く休学してた"ってのはそういうことね』
ケイト『この世界でのリドルくんは、オーバーブロットこそしてないみたいだけど..恐怖で寮を支配する圧政具合に拍車がかかっちゃってるね』
グリム『寮生のやつら、前よりずーっとリドルにビクビクしてるんだゾ』
トレイ『この光景、ゾッとするな。もしリドルを止められなかったら、未来はこうなっていたのか。あの時リドルの魔法を上書きできて、本当に運が良かった』
シルバー『それは..本当に、運が良かったのだろうか?』
トレイ『え?』
シルバー『俺に魔法が発現した頃..父が語って聞かせてくれたことがある。古代魔法が体型化されるよりも、さらに遠い遠い昔..原初の魔法とは"強く願う心"が生んだ、奇跡だったのだと。今よりも一歩先の未来が、より素晴らしいものであれという"願い"。
願いはとても純粋で、揺るぎない強さを持つ力だ。きっとトレイ先輩の"友の凶行を止めたい"という強い願いが..その一瞬、リドルの魔法を上回ったに違いない』
トレイ『シルバー..』
?『そうさ。凶悪な怪物ジャバウォッキーを倒したのだって、名もなき若者だっただろう?』