第107章 *到着スカーレット(リドルの夢)*
チェーニャ『....』
黒兎。その単語にチェーニャの耳が僅かにぴるっと揺れる。しかし、それ以上何を言うわけでもなく、じっとリドルの反応を一緒に待っていた
全員が固唾を呑んで見守る中、リドルは無言でその距離を縮めると、指輪だらけの手でレイラの髪を一房掬い指先で弄ぶ
リドル『黒兎だから嫌いになったり怒られるってなにそれ?たしかにキミは黒い髪の赤い目をした兎の獣人だけど...それがなんで嫌われたりするのさ』
『『『!!』』』
トレイ『リドル。黒兎って言葉に何か思うことはないか?強大な魔法士だったとか、畏怖されていたとか』
リドル『強大?畏怖?さっきから何の話をしてるの?アニメのキャラかなにか?』
『(覚えてないんだ。それとも、この夢の中だと教えられてないから知らないのかも)
じゃあ私のことは、やだって思ってないんだね』
リドル『別に思わないよ。兎の耳も、その真っ赤な目も、この黒い髪も..みんな綺麗じゃないか。キミ、なかなか可愛いよ。ボクの次にだけど』
ルージュをひいた唇を引き上げていたずらっ子のように笑う。その笑みと言葉に嬉しさが募る一方、それが夢に浸る彼からの言葉ということに切なさも感じていた
『そっか...ん、ありがと』
シルバー『どうやら黒兎に関しての記憶は持っていないようだな』
トレイ『現実のリドルは、母親から黒兎の悪い伝承を擦り込まされたと言っていた。なのにその存在自体知らないとなると、教えられていないか、そもそも存在していないか。う〜ん、分からないな』
ケイト『覚醒のチャンスにならなかったのは残念だけど、酷い言葉をかけられなかったのは良かったんじゃない?』
ユウ『ほんとそれです』
それから残りの面々の自己紹介が終わると、リドルは一人一人を順に値踏みするように見ていくと、面白いものを見つけたように顔をパアッと明るくさせた
リドル『ねえキミたち、ボクらのバンドに入らない?』
『『『ええっ!?』』』
リドル『ギターとドラム、あとキーボードも探しているんだ。他にもダンサー、コンポーザー..未経験でも大歓迎!』
ケイト『本当に?じゃあ、けーくんギタリストに立候補しちゃおっかな〜♪』