第106章 *熱中ベイキング(トレイの夢)*
シルバー『なんてことだ、リドル!馬よりも大きくなってしまって』
セベク『剛脚を持つ駿馬たるヴォーパル号でも、あのリドル先輩を乗せて障害物は飛び越えられまい!』
エース『飛び越えるどころか立ち上がれないだろ。オレだってバスケの試合に出れないし、デュースだって陸上のレーンからはみ出しちゃうでしょーが!
こんなのおかしいって!トレイ先輩、目を醒ましてくださいよ!』
トレイ『おか、しい..?俺がおかしいのか?』
ケイト『自分がイカれてることに気づいてないのが、マジでやばい!もしお菓子を作りすぎたって、あんなになるまで食べさせるなんて、お前は絶対にしないはずだよ』
エース『いつものトレイ先輩は..食べすぎると夕食が入らなくなるって、おやつのパイは2切れ以上は食べさせてくれないし』
デュース『何事も適量が肝心。食べ過ぎと歯周病には注意しろってお茶会のたびに言うじゃないですか!』
『私にはこっそりと多めにお菓子くれるけど、私がまんまるになったらヴィルさんとかに怒られるから気をつけないと、って言ってた』
ケイト『お前の望みはいつだって、平穏と普通だったじゃん。この世界が平穏?普通?どっからどう見てもマッドだろ!
目を醒ませ、トレイ!』
トレイ『平穏..?普通..?ううっ!なんだ?急に頭が..!』
ケイトたちの言葉に再び景色が揺らぐ。鈍い頭痛が襲い覚醒へと一歩ずつ近づいていく
トレイ『俺の望む、平穏な..あぁ!』
エース?『トレイ先輩!あいつらの言葉に耳を貸しちゃだめだ!見てよ。みんなやつれてて、目がギョロっとしてて..完全に偽物じゃん!』
デュース?『なんでもない日のパーティーは大切な伝統行事だ。邪魔する奴らは許さない!ハーツラビュルから追い出してやる!行くぞ、エース!』
『『うおおおおおお!!』』
夢の主が覚醒しかけていることに危機を感じ取り、まんまるのエーデュースコンビは溢れ出した闇に呑まれその身を真っ黒に染めると、こちらを排除するために勢いよく転がり攻めてきた