第101章 *奮起シーフ(ラギーの夢)*
その瞬間、ラギーはその場で足を止めると、体を大きく震わせ辺りを見渡し始めた。他の生徒の足音や話し声でざわついているにも関わらず、その耳は確かにコインの音を拾い忙しなくピルピルと動き出す
?『うわっ!?急に勢いよく振り返って、どうしたんだよラギー?』
ラギー『なんか..今、呼ばれた気がして』
?『呼ばれたって、誰に?特に何も聞こえなかったけど』
ラギー『空耳..っすかね?』
ジャック『う、嘘だろ。この雑踏の中で、1マドル硬貨が落ちる音が聞こえてる?』
『ラギさんすごい。私も耳が良いけど、ザワザワしてるところでお金が落ちる音なんて聞こえない』
アズール『さあ、どんどんいきますよ。次は5マドル硬貨です!』
次に5マドル硬貨を召喚し同じように投げると、先程よりも少し大きな音を立てて落ちた
チャリィン!
ラギー『はっ!!??今の音..どっからっすか!?ベンチの下?今度は絶対に空耳じゃない!』
?『えっ、何が?』
?『どうしちまったんだよ、ラギー?』
ラギー『ごめん、2人とも。今日は先に帰っててくんないっすか。オレ..この音が何なのか確かめるまで帰れないっす!』
『『ラ、ラギー!?』』
はっきり聞こえた硬貨の音がどうしても気になり、学友たちに一方的に別れを告げると、キョロキョロと音の出処を探しながら、人の目を気にすることなく花壇やベンチの下を覗き込みながら、こちらへと向かってきていた
オルト『ラギー・ブッチさんが友人のNPCと離れて単独行動になったよ』
セベク『しゃがみ込んでベンチの下や植え込みを探し始めたぞ』
ラギー『あの音、一体何の、何の音っすか?鈴みたいな..でも、もっとワクワクする綺麗な音!』
『ラギさん、目がキラキラしてきた。アズさん、もっとおっきな音出せる?』
アズール『ええ、勿論。ふふふ..やはり、予想通りだ。そろそろ本気を出しますよ』
ジャック『そ、それは..100マドル硬貨!』
アズール『彼の深層心理に、高らかに響かせて見せましょう!この音を!』
チャリィィン!!