第101章 *奮起シーフ(ラギーの夢)*
『んふふ、ギュー...』
ユウ『ギュー♪』
『アズさん、ジャック。ずっと離さないでくれてありがと』
よほど疲れが溜まっていたのか、レイラはぐっすりと深く眠ってしまい、目が覚めた時には空の彼方より黄昏色が僅かに見え始めていた
ユウからの抱擁を受けゆっくり覚醒しながら、結局目覚めるまで手を離さないでくれた二人に礼を言うと、アズールは嬉しそうに笑顔を見せ、ジャックは相変わらずツンデレを発揮しつつも、尻尾を上機嫌に振っていた
カーン、カーン!
セベク『授業が終わったようだな。生徒たちが帰宅をし始めた』
グリム『ハイエナの獣人属が多いから、ラギーのことを見逃しちまいそうなんだゾ』
生徒の半分以上がハイエナ属であり同じ制服を着ているのも相まって、ぞろぞろ出てくる生徒たちからラギーを見つけるのは難しく、見落とすことのないよう全員目を凝らしていた
オルト『あ!今、門から出てきたのはラギーさんじゃない?』
オルトの視線の先には、学友に囲まれて談笑するラギーの姿があった。どこかに遊びに行く予定を立てているようで、その足はこちらとは真逆の校門へと向かい始めた
ジャック『おい!どうするんだよ、アズール先輩。ラギー先輩たち、行っちまうぞ』
ユウ『結局、深層心理に響くアイデアってなんなんですか?』
アズール『ふふふ..ラギーさんを覚醒させる、僕のアイデア。
それは...."これ"です !!』
そう言って手を軽く振って握り拳を解くと、手の中にはキラリと光る1枚のコインが乗っていた
シルバー『それは..1マドル硬貨?それをどうするんだ?』
アズール『こうするんです!!』
すると、アズールは勢いよく腕を振り上げ、コインを上空へと放り投げた。重力に従い落ちたコインは、チャリンとほんの僅かな音を鳴らして転がる
ラギー『!!!???』