第16章 *百獣コンフリクト*
サバナクロー寮
再び鏡舎を経て次に訪れたのは、レイラにとって行き慣れた場所だった
荒野のような更地に動物の骨が転がり、岩や木などから作られた自然そのままのような威厳のある寮は、外から吹く乾いた風で砂埃を上げまるでサバンナの真ん中に立ったような感覚になる
デュース『おぉ~、ここがサバナクロー寮か』
エース『ウチの寮とは全然雰囲気が違うな』
ケイト『それなー。なんか、超野性味を感じるっていうか?もう空間そのものがワイルドだよね~』
『砂埃...』
ユウ『目に入らないようにね』
エース『そういや、レイラはジャックってやつのこと知ってんだっけ?どんなやつ?』
『ん...ジャックね...銀髪で、モフモフ。ワンちゃん耳』
グリム『ざっくりし過ぎて分かんねーんだゾ』
ケイト『まぁ大体合ってるんだけどね』
『いた』
『『『えっ!?』』』
庭で一人走り込みのようなものをしている人影を見つけると、ユウ達を置いて小走りで近づいていった。その先には、確かに銀髪でモフモフとした耳と尻尾を揺らすジャックの姿があった
エース『ちょ!ま~た一人で走って行きやがって...』
ユウ『ああいうの時々心配なるんだけど...とりあえず追いかけよっか』
『ジャック...』
ジャック『うおっ!お前か...どうした?またあの人に』
『耳と尻尾、』
ジャック『じゃあな』
踵を返して寮に帰っていこうとするジャックだったが、服の裾を引っ張られ思わず立ち止まり振り返る
ジャック『何だ...言っておくが触らせねぇぞ』
『むぅ...』
グリム『おい、ツンツン頭!オマエが悪いやつに狙われてるかもしれねぇから、オレ様達が守ってやるんだゾ!どうだ嬉しいだろ!』
追い付いてきたグリムが開口一番にそう言うと、ジャックは当たり前に訳が分からないと言わんばかりに怪訝そうに顔をしかめる
ジャック『なんだテメーは』
ケイト『ちょっとグリちゃん、話しかけ方に問題アリ過ぎでしょ!やー、ゴメンゴメン。ちょっとオレたちの話聞いてもらっていーかなー?』
慌ててケイトがグリムを抱き上げ口を手で塞ぐ。モガモガ言うグリムをそのままにケイトが切り出す