第99章 *追跡マーメイド(アズールの夢)*
ジェイド『...ええ、そうですね。僕としたことがつい興奮して手が出てしまいました。たしかにこちらの方が痛くありませんし早いですね』
ご指摘ありがとうございます、と嬉しそうに微笑みながら、次の獲物へと狙いを定めて握ったペンの後ろでガラスドームを叩き割る
ガシャーン!!
ジェイド『ああ!信じられません。幻の不死鳥ゼンマイだ!驚くべき再生能力を持つゼンマイですが、標高3000m以上の断崖絶壁にしか生息していません。
これも、これも頂いていきましょう』
ガシャンガシャンと足元に割られたガラスドームの破片が散らばり、ジェイドの片腕には段々と強奪した植物が増えていく
ジェイド『本来ならお縄になるところですが、ここは夢の中ですからね!はあっ..夢の中、最高すぎませんか?こんなに貴重な山菜を大量に手にできるなんて!』
セベク『おい!いい加減にしろ。闇に見つかるとまずい。早くこの場を離れるぞ!』
ジェイド『ああ、申し訳ありません。少々はしゃいでしまいました』
ユウ『少、々?』
グリム『クルーウェルに見つかる前にとっととずらかるんだゾ!』
ナイトレイブンカレッジ・植物園
グリム『...で?レアな山菜をいっぱい盗んできて、どうするつもりなんだゾ?』
ジェイド『グリム君、ユウさん。これらの山菜を持って、モストロ・ラウンジへ行ってみてください』
グリム『モストロ・ラウンジへ?』
ジェイド『学園付近の森で採取したから買い取ってくれないか?もし買い取ってくれないなら、食堂へ持っていく..とでも言って』
シルバー『しかし、食べられそうな山菜は見るからに少ない。食材に使えないのなら、アズールには買取を断られてしまいそうだが..』
『アズさんには断られてもいいんじゃない?』
シルバー『え?』
『だって、私たちが今狙うのはあっちのジェイさんでしょ?アズさんが来られる方が今はだめ。ジェイさんだけを引っ張ってくるなら、この方法でいいと思うよ』
ジェイド『ええ、その通りです。ふふ..大丈夫。僕ならきっと飛びついてきますよ』