第99章 *追跡マーメイド(アズールの夢)*
ジェイド『さらに"かじりとる歯"は、同じ相手に2度と使えない。昔フロイドには使ったことがありますし、2度目以降は何度かけても効果はありませんでした』
フロイド『マジでありえねー。何度もやろうとすんなよ。1度でも最悪だったのに..』
ジェイド『ですので、アズールとNPCのフロイドから魔法で情報を聞き出すことはできないと思います』
『....』
そこまで聞いてレイラは暫し考える。契約書の在処を知るのは恐らくあの三人のみ。警戒心や魔力が強いアズールは✕。一度使ってしまったフロイドも✕
ならば残された道は一つしかない。ここが夢の世界だからこそできる、成功するかも分からない作戦だが、かける価値はあると小さく頷いた
『ジェイさん』
ジェイド『どうされましたか?』
袖を引くレイラに合わせて少し屈むと、何か考えがあるように瞳を輝かせる顔を覗き込む
『あのね、ジェイさんのユニーク魔法を、ここのジェイさんにかけることって出来る?』
ジェイド『!!たしかに僕は、僕に対してユニーク魔法をかけたことはありません』
『『『!!』』』
ジャミル『なるほどな。この夢の中でジェイドよりも魔法の実力が上でなく、ジェイドが1度もユニーク魔法をかけていないオクタヴィネルの幹部..それは、自分自身のNPCだけ..ということか』
いい着眼点だな、とレイラの頭を撫でると、嬉しそうに顔をほころばせて擦り寄る
ジェイド『良い作戦です。試してみる価値はあるかと』
フロイド『あはっ!それって、ジェイドVSジェイドってこと!?おもしれぇ〜!んじゃ、オレが邪魔しないように引き剥がしておかないとね』
ジェイド『ええ。フロイドはフロイドを、僕は僕をアズールから引き離し、各個撃破いたしましょう』
オルト『じゃあニ手に別れるってことだね。チームはどうする?』
ジェイド『では、ジャミルさんとオルト君はフロイドと一緒に。ユウさんとレイラさん、グリムくん、イデアさん..そしてディアソムニアの2人は僕と来てくださいますか?』
フロイド『んじゃ、うまくやろうねぇ、ジェイド』
ジェイド『ええ、フロイドも』
少し妖しさを含んだ笑みで分かれると、各々作戦に移るために二手に分かれ歩き出した