第99章 *追跡マーメイド(アズールの夢)*
アズール『....』
払われた自身の手を暫く呆然と見つめていたアズールだったが、ふと向けられた軽蔑の瞳が脳をよぎる。その瞬間、口元を歪ませ無言でレイラのエアドームに六本の足で巻き付いた
『!!』
アズール『そうですか....では、余興を続けましょう。次のショーは、
海の中で陸の人間がどのくらい息をせずに生きられるか、です』
『『『なっ!!』』』
アズールが何をしようとしているか、いち早く察したジャミルとシルバーが急いで駆け寄ろうとするが、他の人魚が前に立ちふさがる
ジャミル『そこをどけ!』
シルバー『頼む、どいてくれ!』
?『何焦ってんだよ。別に誰も殺そうなんて言ってないだろ?なあ、アズール?』
アズール『ええ。僕がそんな恐ろしいこと考えるわけがないでしょう?
ただ、興味はありますよ』
『ぇ...』
アズール『このクラゲのような膜がどれほど耐久力があるのか』
ギュ...
ミシミシミシ....
『ゃ、やめて...』
アズール『そして、それを失った陸の人間がこれ以上どんな無様な姿を晒してくれるのか』
ギュギュギュッ..!
ミシミシ..ミシミシミシッ!!
『ね、お願い、やだ..っ、やだっ!!』
六本の足がエアドームを締め付け始め、四方から潰れそうな不穏な音が漏れる。全身筋肉のタコの足がエアドームを破壊するのも、アズールの力加減と時間の問題だった
生命線であるエアドームが割れればどうなるか。最悪の結果を想像し、レイラはおろかシルバーたちの背にもゾッと恐怖の寒気が走る
イデア『ちょ、ちょちょちょちょっと!!誰か、誰でもいいから、殴るなり蹴るなりでもしてアズール氏を止めて!!このままじゃエアドームが今度こそ割れる!そうなったら息ができないだけじゃなくて、水圧と気圧の急激な変化に体が耐えきれない!一発でロストして冥府行きになる!』