第98章 *海中サーベイ(ジェイドの夢)*
オルト『黒い煙..海底の熱水噴出孔から鉱物を含んだ黒い熱水を吹き出す、ブラックスモーカーのことだね。ブラックスモーカーの温度は最高400°。しかも、硫黄やメタン、重金属など生物には有害な物質を多く含んでいる』
フロイド『そー。噴火は突然だから、退路を塞がれて帰れなくなったり、黒い煙を吸い込みすぎて気分悪くなったりする。サメが住処にしてる難破船の墓場より、よっぽどあぶねーとこ』
『...ぅぅぅ』
ジャミル『レイラ、どうした?』
『..この匂い、嫌い。頭クラクラする』
『『『!!!』』』
鼻と口を片手で覆いながら、ふらりと体を崩すレイラの元に、誰よりも早く駆けつけたフロイドがその体を抱きとめる
フロイド『は?なんで..ゴマちゃん、煙吸ったの?爆発する前に逃げたつもりだったんだけど』
オルト『兄さん!このエアドームって、』
イデア『強度はあまりないけど、有害物質とかは貫通してこないはず。まさか、それでも漂ってきた"匂い"だけは感じ取れたってこと?鼻良すぎでしょ』
オルト『さすがは獣人というべきか..とにかく、もう少し離れたほうが良さそうだね』
オルトの助言に従い全員距離を取ると、薄れてきたのか少しはマシになりレイラはホッと息を吐いた
『はぁ..ん、大丈夫。ごめんね』
ユウ『謝らなくていいよ。それよりほんとに大丈夫?まだ気分悪い?』
フロイド『だったら、オレがギューってしてあげる』
『ん..んぅぅ』
抱きとめていただけの腕が覆いかぶさるように抱きしめる。鼻を刺激する不快な匂いが、愛する人の落ち着く魔力の匂いでかき消される。レイラはザラつく肌に頬を寄せ、安心したように口元に笑みを浮かべた