第97章 *接触アパシー(フロイドの夢)*
セベク『おい、持って行かれてしまったぞ。大丈夫なのか!?』
ユウ『多分ね。まあ、あの人、レイラには一回も手をあげたことないから』
ジャミル『この前、大食堂に随分と機嫌を悪くしながら入ってきて、俺も周りもいつとばっちりを受けるかヒヤヒヤしながら見ていたんだが、レイラを見つけると途端に元気になって走り寄って行っていたな』
シルバー『とにかく何もないといいが..』
ゆらゆら
ゆらゆら
隣の海藻に合わせて左右にゆっくりと海流の動きに揺れるフロイドはまるで揺り籠のようで、腕の中で完全に体を預けるレイラにとっては、穏やかな眠りを誘われているようだった
『んむ...』
フロイド『ゴマちゃんさ』
『..ん、なに?』
フロイド『なんで急にいなくなったわけ?』
『へ?』
突然のことに驚き顔をあげると、相変わらず気怠そうにしているものの、見つめるオッドアイは怒りの色を乗せていた
フロイド『アズールがモストロ・ラウンジを成功させてから、いきなり学園から出てって行方不明になったじゃん。オレ、あれから世界一周旅行ついでにゴマちゃんのこと、探しに行ったんだけど』
『え、あ、そう、なの?』
フロイド『電話してもメールしても繋がんねぇし。ゴマちゃんの家の場所も知らねぇから...もうオレらに飽きたのかと思って。そしたら、もうどうでもいいやって探す気力もなくなったんだよねぇ』
『...』
覚えのない彼の夢の中の自分の行動に何も言えずにいると、突然周りの温度が急降下し始めた
フロイド『なぁ、なんでいきなり消えたわけ?なんで連絡もつかなかったの?
...勝手に消えたくせに、なんでノコノコ現れたんだよ』
ガチンと歯を鳴らし瞳孔が開くと、抱える腕の力がだんだん強くなっていく。それは、何も言わず消えたことへの怒りを表しながらも、もう逃さないという強い想いから来るものだった
『ぅ"...フロさん、くる、しい..っ(どうしよう..凄く怒ってる。でも、なんて言ったら..)』
シルバー『フロイド、少しいいだろうか』