第96章 *盛況アライブ(ジャミルの夢)*
『(でも、私が行かなかったらヴィルさんたちがツラい思いするかもしれない。それに、ジャミさんを助けに行かなきゃ...)』
グッと拳を握ると、意を決してユウの手を握り、二人で同時に闇へと飛び込んだ
『(ぅ...くるし、い...)』
闇の奥へと落ちていきながら、予想通り重苦しさが体を蝕む。先に飛び込んだヴィルたちの中から特に不調を訴えるものはおらず、やはり自分にだけ来ているのだと確信した
『(我慢..しなきゃ。私が、代わりになれば..みんなは大丈夫、なんだから)』
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スカラビア寮・廊下
暫くして降り立ったそこは、血の色に染まったスカラビア寮内だった
セベク『..ここは?』
オルト『デザイン、スケール共にスカラビア寮の廊下と一致しているよ』
?『ふ、はは...はははは!』
奥から聞こえてくる誰かの狂ったような笑い声に、グリムは全身の毛をブワッと逆立てた
グリム『!!なんか不気味な笑い声がするんだゾ..!』
『ぅ..この、声..』
ユウ『どこかで聞いたことある気がする。あー..嫌な予感しかしない』
カリム『行ってみよう!』
スカラビア寮・談話室
廊下を走り抜け、声の聞こえた部屋に入ると、そこは空までも赤く染まりきった談話室だった。そこには、他の寮生やアズールを周りに侍らせ高笑いするジャミルの姿があった
ジャミル『やったぞ..ついにカリムを学園から追い出し、寮長の座を手に入れた!食料も飲み物も、全部持ってこい!今日は宴だ。阿呆な王が消え、真の実力者が王になった記念日だからな!』
スカラ寮生『仰せの通りに、ご主人様..』
『『『!!!』』』
シルバー『あれはジャミルか?それに、アズールもいる』
セベク『なぜアズール先輩がスカラビアに?』
他寮であるはずのアズールが何故ここにいるのか。疑問に思い彼の顔をよく見てみると、いつもは海のような灰がかった青い瞳が、鈍い赤い光を放っていた。それは、ジャミルのユニーク魔法で洗脳された者に宿る光だった