第96章 *盛況アライブ(ジャミルの夢)*
手を伸ばし駆け寄ろうとするが、ジャミルの体は足元の闇の中へとズブズブと引きずり落とされていってしまった
カリム?『ドブネズミどもが..ジャミル様の眠りを邪魔するな!』
『..カリムさんはそんなこと言わない』
ユウ『そーだそーだ!』
セベク『それに、邪魔するなと言われて誰が"分かった"と引き下がるか!
いくぞ!ドリームフォーム・チェンジ!』
戦闘服である寮服に着替えると、周りで蠢く闇と黒いオーラを纏うカリムへと駆け出した
『っ、カリムさん!今!』
カリム『おう!これでも食らえ!!』
レイラのサポートを受けて放たれた一撃が、カリムの姿を模した闇を吹き飛ばした
カリム『ジャミル!どこに行ったんだ?返事をしてくれ!』
シルバー『きっと闇に引っ張りこまれてしまったんだ』
カリム『あのドロドロの中にジャミルがいるってことだな。よし!』
一際大きな闇の溜まりを見つけると、普通は躊躇するはずの未知の空間へ勢いよく飛び込んでいった
グリム『ふなっ!カリムのやつ、ためらいなくドロドロに飛び込みやがった!』
ヴィル『まったくあの子は..あたしたちも急いで追いましょう!』
『『ああ!』』
先陣を切っていったカリムを追って、ヴィルたちも次々と闇の中へと潜っていく。最後に残ったユウも潜ろうと足を踏み出すが、ふとレイラが後ろで立ち止まっていることに気づき振り返る
ユウ『レイラ?』
『ぁ..』
ユウ『...怖いよね。でも大丈夫。手、繋ごっか』
そう言って差し出された手をレイラはすぐに握らなかった。何度も経験したレイラにとって、今更闇の中へ飛び込むことに恐怖はなく、理由はまた別にあった
闇の中を進む際に、自身を蝕むように侵食してくる重苦しい"何か"が怖かったのだ。得体のしれないものに体を侵される気持ち悪い感覚がまた来ると思うと、本能が足をすくませる