第96章 *盛況アライブ(ジャミルの夢)*
ジャミル『なんだ、今の光景は?知らないはずなのに..知っている!俺は..本当の俺は..っ!』
あと少しで思い出す、誰もがそう期待を膨らませる中、レイラは耳をピンと立て、学園の外から走ってくる人影に警戒心を向けた
『!!...来た』
シルバー『来た..?』
?『ジャミル様〜〜〜!!!』
『『『!?』』』
よく聞き慣れた声で走ってきたのは、ジャハーサヒールカレッジの制服をまとった、もう一人のカリムだった
カリム『お前は..オレ!?』
シルバー『カリムが2人いる!あれはおそらく..』
ヴィル『ええ、闇に違いないわ』
カリム?『ジャミル様!いつもより早くご登校されたと聞き、慌てて追いかけてきてみれば..なんてことだ!しっかりなさってください。すぐに医者に見せましょう!衛兵!衛兵〜〜〜!!』
頭を押さえて苦しむジャミルに駆け寄り体を支えると、こちらを強く睨みつけ衛兵を呼び込む。すると、衛兵ではなく足元から大量の闇が二人を囲むように這い出てきた
オルト『しまった!あっという間にジャミルさんが闇に取り囲まれた!』
ジャミル『カ、カリム..?』
カリム?『ええ、そうです。オレが本物のカリム。あなたの忠実な従者です』
カリム『!?ジャミル、よく見ろ!そいつはオレじゃない!』
必死に呼びかけるが、闇のカリムはそれを遮るように手を伸ばすと、ジャミルの頬に手をあて視線を自分へと向けさせる
カリム?『あいつはあなたの命を狙う刺客。あいつの言葉に耳を貸してはいけません。さあ、オレの目を見て..ここにいれば、あなたはずっと支配者でいられる。金も、地位も、自由も..何もかも思うがままだ!』
歪んだ笑みで囁かれる甘い夢への誘惑が、ジャミルを堕とそうとしてくる。その言葉に呑まれ彼の瞳から段々と光が失われていく
ジャミル『ああ..そうだな..全てお前の言う通りだ、カリム..』
カリム『待ってくれ!そいつじゃなく、オレを信じてくれ!ジャミルーーー!!!』