第96章 *盛況アライブ(ジャミルの夢)*
『むぅ...そんなこと、ない、もん...多分』
ヴィル『あら、それはごめんなさいね』
ニヤニヤと悪い笑みを向けられ、頬を膨らませ否定するが段々と自信をなくして言葉が曖昧になり、それが更にヴィルの笑みを深くしていく
イデア『ふひっ。自分のことは棚にあげてジャミル氏とヒロイン氏をいじり出すの草』
セベク『ふざけている場合か。ジャミル先輩に一刻も早くこれが夢だと気づいてもらわねばならないというのに!』
シルバー『ああ。バザールでも感じていたが..やはりジャミルのイマジネーション強度は流石だ。強い衝撃を与えたくらいでは、揺らぎそうもないな。どうしたものか...』
数分後、敷物を貰いに出ていたカリムが何枚かその手に抱えて戻ってきた。1枚数百マドルはくだらない最高級品にジャミルは一瞬、吹っ掛けられたのではと疑いを見せるが、店の質の良さをよく理解していたため、問題ないだろうとそれ以上は言わなかった
カリム『それより見てくれよ、これ!この絨毯、懐かしくないか?』
ある一枚を手に取り広げると、それはスカラビアの宝物庫にいた、カリムと仲の良い魔法の絨毯のレプリカと模様がそっくりだった
ジャミル『懐かしい?その絨毯が?』
カリム『空飛ぶ魔法の絨毯のレプリカだよ。これは魔力が込められてない、ただの絨毯だけど。昔、とーちゃんやジャミルと一緒にあの織物屋に行った時..オレが魔法の絨毯だ!ってこれを床に広げて乗っかって怒られたんだ。覚えてるか?』
ジャミル『忘れるものか。絹製のヴィンテージの絨毯に、お前が泥のついた靴で乗った時の店主の顔..うっ!?』
カリムの問いに当たり前かのように答える。だが、それはこの夢の世界ではなかった出来事。現実での思い出を思い起こしたことで、トリガーが引かれジャミルは頭痛に襲われ、空間が歪みを見せ始める
ジャミル『待て..カリムのように落ち着きがないやつを、俺が高級店に連れていくわけがない。ううっ!なんだこれは?急にめまいが..っ!』
オルト『!!ジャミルさんが揺らいでる!』
グリム『カリム!もっと言ってやるんだゾ!』