第96章 *盛況アライブ(ジャミルの夢)*
ユウ『本当の..元の先輩に会いたいよね』
『ん..早く戻って、ギュってしてほしい』
だらりと下がった小さな手をユウは優しく握る。寂しさを紛らわせるように指を絡ませ、自分よりも高い体温にレイラは少しだけ口角を上げた
それから、ここの生徒ではない明らか不審者であるこちらに敵意が向けられるが、ナイトレイブンカレッジから見学に来て受付で迷った説明すると、闇の鏡を始めとする学園の所持する魔法道具への興味も相まって、ジャミルは快く迎え入れてくれた
そして魔法道具について話をしたいとのことで宴席を設ける話になり、ジャミルはこの夢では従者であるカリムに宴の用意をしろと命令した
だが、普段用意してもらう側のカリムは空回りを繰り返し、いつものように手を叩いて他の従者に持ってこさせようとしたり、敷物をひく前に食事を持ってきたりと、その度にジャミルを呆れさせた
カリム『あっはっは!わりーわりー!こんなの初めてやるからさ。ジャミル様、ちょっとこのカレー鍋を持っててくれるか?』
敷物を持ってくるため、持ってきたカレー鍋をジャミルに無理矢理持たせると、更に持ってきたフルーツの数々を持ってユウたちの元へと走ってくる
カリム『ユウ、グリム、レイラ。デーツとメロンとブドウを預かってくれ』
そう言うと小さなメロンをドサドサとグリムの頭に乗せ、デーツをユウに、ブドウをレイラに預ける
ユウ『あ、はい。っとと..』
『ん..美味しそう』
グリム『ふなっ!そんなに頭の上にたくさんメロンを乗っけるんじゃねぇんだゾ!お、お、重い〜!』
イデア『さすがカリム氏。ご主人様とお客様に容赦なく荷物持ちさせるじゃん』
カリム『じゃあ、次は敷物をもらってくるぜ!』
ジャミル『おい!待て!主人と客人を働かせる従者がどこにいる!?』
大声で引き止めるが既にその姿は学園の外に消え、仕方なく魔法でカレー鍋を浮かせると、3人に近寄り申し訳無さそうに浮遊魔法をかける
ジャミル『...ごほん。すまない。荷物は俺が魔法で浮かせておくから、君たちは手を離して構わない』
グリム『おっ、荷物が全部浮いて楽ちんになったんだゾ』
ユウ『ありがとうございます』
『あり、がと』
ジャミル『!..君は..』