第96章 *盛況アライブ(ジャミルの夢)*
シルバー『過去の経験上、夢の主は夢を渡った地点からそう遠くない場所にいることがほとんどだ。ジャミルはきっとこの近くにいるはず。ヴィル先輩の具合が良くなったら、俺たちもすぐに追いかける。事を急いて無茶な行動はするなよ』
セベク『ふん。心配は無用だ。僕やユウたちも夢の中での行動にかなり慣れてきているからな。何か異変があればすぐに引き返してくる』
オルト『兄さん、何かあったらすぐに僕に連絡して』
イデア『りょ。見守りモードにしておきますわ』
『セベク』
セベク『ん、なんだ?』
『ユウ達のことよろしくね』
セベク『なに?お前は残るのか?』
『ん』
行動的な性格ゆえ、てっきり共にジャミルの探索に向かうかと思われたレイラの言葉に一瞬キョトンとするも、手を繋いだままのヴィルを心配そうに見つめているのに気づき、"そうか、分かった"と小さく頷いた
ヴィル『ちょっと。あたしはいいからあんたは行ってきなさい。ジャミルのこと、心配だし会いたいんでしょ?』
『や』
ヴィル『や、って..』
『今はヴィルさんと一緒にいたいの。それに、ほんとは私もさっきのでちょっと気持ち悪くなっちゃったから休みたい』
ヴィル『そうなの?』
『ん』
『『『(嘘だな/嘘でしょ..)』』』
分かりやすく視線が泳ぐ。嘘の体調不良を理由にヴィルの側にいたいという他人想いなレイラの願いに、全員はあえてそのことに追求しなかった
ヴィル『じゃあ、一緒に休みましょ』
『ん』
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制服に着替えたセベクたちを街へと送り出すと、レイラたちは大きな木陰へと移動し腰を下ろした
ヴィル『はぁ..ぅぅ..』
オルト『ヴィルさん大丈夫?吐き気が酷くないなら水分補給をすることをお勧めするよ』
シルバー『なら俺が買いに行こう。すぐそこにドリンクを売っている店がある』
ヴィル『いいえ、今はいいわ。それより、少し横にならせてもらってもいい?』
シルバー『!..ああ』
普段は服が汚れるやらで、外で横になるなど決してないヴィルのまさかの発言に、そこまで体調を悪くしているのかと3人に不安が募る