第94章 *夢幻ナビゲート(ヴィルの夢)*
イデア『一番幸せな瞬間に、現実を突きつけるっていう結構エグめなこと考えるのは良いとして、それをどんなタイミングでどんな言葉をかけるのかってところだけど..』
『タイミングは賞をもらった時でいいと思う。言うのは..』
ルーク『それは私に任せてくれないかい?』
『....』
ルーク『彼の過去の出演作も配役も一番知っているのは恐らく私だろう。何より、私が彼を目覚めさせる一番のきっかけになりたいんだ。夢に浸る私をそうさせてくれたエペル君のようにね』
エペル『ルークサン..』
ルーク『いいかな、兎の君?』
真っ直ぐに見つめるハンターグリーンから目を逸らし黙り込む。暫しの沈黙の後、レイラは一度だけ視線を合わせると静かに頷いた
ルーク『メルシー。さて、もう少し内容を細かく詰めていこうじゃないか。みんな力を貸してくれるかい?』
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美粧の街・クインズ・パレス
翌日、晴れ渡る空から暖かな日差しが差すクインズ・パレスには多くの人で溢れかえっていた。多数の映画関係者たちがメディアのフラッシュと観客の歓声を浴びながら、レッドカーペットを進んでいく。その中で一際歓声を浴びるヴィルも、手を振りながら真っ直ぐにパレスの中へと進んで行った
式が始まり順番に賞の発表が行われる中、ついに誰もが注目する最優秀主演賞の発表がされようとしていた
?『それではいよいよ..最優秀主演賞の発表だ。私もこの封筒の中に誰の名前が書いてあるのか知らない。緊張で手が震えるよ。
本年度のダイヤモンドムービー賞。栄えある最優秀主演賞は...
ヴィル・シェーンハイト!』
スポットライトがその姿を照らし、万雷の拍手が沸き起こる。観客たちの歓声に包まれ、ヴィルの目にうっすらと涙がにじんでいく
ヴィル『あたしが..本当に?』
ネージュ『おめでとう、ヴィル様!』
?『おめでとう、ヴィル!さあ壇上へ!輝く王冠は君のものだ!』
体中に走る歓喜の興奮を滲ませながら、欲しくて焦がれていた栄冠を目指し、壇上への階段へ向かっていく
階段を登りきり賞を受け取るまでの間、場内にはこれまでのヴィルの経歴を紹介するアナウンスがファンファーレと共に流れ出す