第92章 *出発プレパレーション(エペルの夢)*
エペル『えっと、にぐど、牛乳ど、林檎..あど、野菜とが?とにかくうって食ったんだ』
オルト『ふぅん。それで、あなたがヴィル・シェーンハイトさんの身長を追い抜いたのはいつ頃?』
エペル『そいだば..はった?いつだったべ?わがヴィル先輩よりおっきぐ..うっ!』
ぐらり...
突然痛みだした頭を押さえふらつきだしたエペルに呼応するように、周りの空間が捻じれ歪みだす
『思い出してきてる...!!みんな、エペルの足元!』
ぐぷぷぷぷ..
『『『!!!』』』
シルバー『あの黒いモヤは..闇!』
イデア『夢から逸脱したユーザーを取り締まる、ゲームマスターのお出ましですな』
エペルを囲うように足元から生まれた闇は2つの大きな塊になると、その形をぐにゃぐにゃ変形しながら、やがてエペルに最も影響を与えるあの二人へと姿を変えた
『ヴィルさんとルクさん..』
オルト『君らはあれを闇と呼んでるみたいだけれど..どうやらあれは、対象が存分に夢に浸れる状況に引き戻しやすい姿をとるようだね』
シルバー『ああ、本当に嫌な手を使う..俺の時もそうだった』
頭を抱えるエペルの後ろからヴィルの姿をした闇が口を開く。その声は本物と全く遜色ないほどそっくりな声色を放つ
ヴィル?『エペルが私の背を追い抜いたのは、確かウィンターホリデーが終わったくらいだったかしら』
エペル『ヴィル先輩!そ..そんでしたっけ?そんだったがも..』
ヴィル?『エペル。あんた、随分早く寮を出ていったのにまだこんなところで油を売ってるの?』
エペル『朝練さ行ぐとぢゅうで、ちょうどユウたぢさ会って..』
ルーク?『友との語らいも大切だが、君はマジフト部期待のルーキーなんだろう?レオナ君からもよく話を聞いているよ。上級生のタックルにも負けない、期待あげられた体躯、チームのオフェンスの要だとね。サバナクローへの転寮も視野に入れてほしいと請われているそうじゃないか』