第91章 *内密コール*
嘆きの声が怒りではなく寂しさから来るものだと分かった瞬間、リリアの心にストンと何かが落ちる
リリア『あ、はは。そうか、そうだよな。
黒兎のあいつだって、それが分かっててああ言ってたのか..』
"ドラゴンの卵を孵す方法については、正直知らない。でも、オマエの話聞いてると...きっとその王子は
寂しいと思う。だから、オマエは変わらず王子のところに行ってあげればいい。
でも旅は続けろ。オマエのためになる。それに、オレの言ってることもそのうち分かる"
リリア『200年もひとりでいたら、誰だって寂しいに決まってる。なんでそんな単純なことが分からなかったんだ、俺たちは。
待ってろ。今、そこまで行くから』
鳴り止まない雷撃を避けながらリリアは必死に階段を登り、マレウスの元までなんとか辿りつく。その瞬間、今までよりも強い雷撃がリリアを襲った
リリア『はぁ、はぁ..着いたぞ。もう少しで..
ぐあああっ!がはっ..
い、今のは効いたぜ..でも残念だったなぁ..俺は"翠が原の走る城壁"とまで呼ばれた元右大将だぞ..これくらいでくたばれるほど、ヤワに出来てねぇんだよ..!
はぁ、はぁ..さあ、マレウス。次はどうしたい?俺はまだまだやれるぞ。あと100年でも、200年でも..お前が根負けして卵から出てくるまで..あやして、あやして、あやしまくってやるからな..!!』
その言葉にマレウスの卵からまた鳴き声が響き渡り、周りを囲む魔力の霧を吸い込み始めた
リリア『なんだ!?周囲の魔力が急速に卵に集まって..まさか、卵が欲しがってんのか!?ははっ!お前、やっぱり腹が減ってたんじゃねぇか。やせ我慢しやがって。
いいぜ、俺のも持っていけ。魔力でも、寿命でも..欲しいならいくらでもくれてやる!』
魔力を欲しがるマレウスへと手を伸ばし、その卵を優しく抱きしめる。一番近い魔力として体から力が吸い上げられる
だがリリアは抱きしめる腕を決して緩めず、むしろもっと与えるようにしっかり抱えていく
リリア『だから、出てこい..外の世界に!!』
パキッパキッ..
パキパキパキパキ...
?『ギャァーーーアアアアァァ!』
リリア『この..声は..?』