第90章 *難航トランスポート*
鉄の者『はっ、小僧と小娘2人に何ができる!』
鉄の者『!!おい、あの娘の髪と耳、それに赤い瞳..まさか黒兎か!?』
レイラの存在に気づいた鉄の者たちにどよめきが起こる。まさかあの黒兎が妖精たちの味方として自分たちの敵に回るとは思ってもいなかったのか、中には恐れさえ感じ後退りする者もいた
だが、ここまで来て引き返すわけにもいかず、疑問と恐れを抱きながら再び武器を構えだす
鉄の者『恐れるな!黒兎とはいえどまだ子供だ!我々の敵ではない!!』
鉄の者『そ、そうだ!誰が相手だろうと必ずやヴァンルージュの首とドラゴンの卵を手に入れるのだ!!』
鉄の者『橋ごと谷底に叩き落としてくれる。装甲掘削機、全速前進!』
号令と共に巨大な掘削機が地を揺らしながら進み始める。迫りくる脅威に二人はより強く手を握ると、ペンと警棒を前に掲げる
シルバー『行くぞ、レイラ』
『ん!』
?『"曇天を衝け、雷光よ"!
"迅雷一閃"(リビング・ボルト)!!!』
鉄の者『『ぐわああああ〜〜〜!!!』』
その時、激しい雷鳴とともに目にも止まらぬ速さで稲妻が走り、鉄の者たちを次々と吹き飛ばす
シルバー『この稲光は..』
セベク『ま、まだこんなところでもたもたしているとは..途中、い、居眠りでもしていたか?はががっ!』
シルバーたちの前で止まった稲光が、若草色の髪を揺らす人物へと姿を変える
己の稲光に少し痺れながらも少し煽るような言葉を放つその声に、レイラは心の奥から熱いものが込み上げる
『ぁ..セ、ベク』
そこに立っていたのは、近衛兵と同じ深緑の鎧を身に纏ったセベクだった。迅雷一閃の影響で痺れる体に居心地が悪そうにしていながらも、その立ち姿は堂々としていた