第89章 *暗闇アストレイ*
『..ふぅ..ごめん、もう平気』
グリム『お、脅かすんじゃねぇんだゾ..オレ様、ビックリして全身の毛がゾワゾワ〜ってなっちまった』
『ごめん、グリム』
ユウ『ホントに大丈夫?もうツラいところはない?』
『ん』
シルバー『はぁ..良かった』
セベク『もう平気なら立てるな。あの中も危険だがここにも長居はするべきじゃない。とにかくまずはここから抜け出すぞ』
差し伸べられた手にそっと重ねると、腰を抱かれ力強く優しく引き起こされる
『ありがと』
セベク『...』
『セベク..?』
立ち上がっても尚、触れた手が離れず無言で見下ろすセベクに首を傾げると、至近距離のアンティークゴールドが不安な色を見せた
セベク『..無茶ばかりするな。どれだけ心配したと思ってるんだ..馬鹿者』
『....』
潤む瞳と震える手に申し訳無さと嬉しさが溢れ、謝罪と感謝を込めて少し体を寄せ、トンと彼の胸に額をくっつけた
『ん..』
腕の中の温もりに泣き出しそうになるのをグッと堪えると、腰に回った手を少し強めた
ユウ『(くそぅ!!!こうなったら八つ当たりもプラスじゃ!!)んじゃ、戻ってきたんで一発キメますよ、せ・ん・ぱ・い♡』
シルバー『!!あ、ああ..ひと思いにやってくれ』
ユウ『いっきま〜す』
『ユウ』
ユウ『!な、なに?』
『シルバーさんに怖いことしちゃだめ』
ユウ『で、でも..』
『嫌いになるよ』
ユウ『よし、出口を探そうか!!!』
『『『.....』』』
あまりの切り替えの速さに、慣れているグリム以外の二人は呆然とユウを見つめることしかできなかった