第89章 *暗闇アストレイ*
深く深く沈んでいく
闇の中はどこまでも下が続いてるようで、一向に足は底につかない。どこを見回しても真っ黒な空間は、今自分が真っ直ぐ落ちているのか、それとも左右に逸れているのか分からない
シルバー『不思議だ。まるで水の中にいるような抵抗があるのに、呼吸は普通にできるのか。
っ..あまり長居できるものではなさそうだな』
闇がまとう負の感情が絡みつくようにシルバーの体を蝕もうとする。背中に走る悪寒に身震いしながら、目を凝らしてレイラを探す
シルバー『レイラ、一体どこにいるんだ....
まずはこの絡みつく闇を何とかしなくては』
指輪を取り出し両手で包み、願いを込めて強く握った
シルバー『光よ、闇を追い払え。そして、どうかレイラの居場所を教えてくれ!』
ポゥ....
その願いに応えるように指輪から光が溢れ、シルバーを包み込む。絡みついていた悪寒がなくなり、心なしか思い呼吸が楽になる感覚がした
更に指輪が光を強めると、小さな光の粒がひとりでに動き出し、沈む先の少し奥へと落ちていく
もう少しで見えなくなる位で粒は何かに当たり、それを包みこみ周りを輝かせる
シルバー『!!そこか!』
体制を下へと泳ぐように変え、急いで光の粒が照らす方へと進む
段々とその姿がハッキリと見えてくると、シルバーの心に安心と焦燥が激しく交差し始め、無我夢中でその姿へと手を伸ばす
シルバー『レイラーーーっ!!!!』
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〔No side〕
誰かが呼んでる..私の名前を
誰なんだろ
分かんない
でも凄く安心する
さっきから体が温かいもので包まれてる。好きな人にギュってされてるみたいでフワフワした気分
なんだろ、あれ。キラキラした光が近づいてきて、一緒に誰かがこっちに来る
えっと..えっと..誰、だっけ?
お名前が出てこない。絶対知ってるはずなのに思い出せない