第89章 *暗闇アストレイ*
シルバー『っ!!』
ユウの言葉がまるで刃のように突き刺さり、言いようもできないほどの痛みが全身に回る
そしてようやく気づいた
今まで闇の世界で、絶望しながらも戦う手を止めなかったことも、心の奥底の大事な支柱が完全に折れていなかったことも全て
リリアの教えであると同時に、ずっと側にいてくれたレイラの存在もあったからだと
シルバー『ーーーっ、俺は..俺は..レイラを、見捨てた..っ』
セベク『ユウ、その辺にしておけ。後でいくらでも責めればいい。だが今は、この中からレイラを救うことが最優先だ!』
ユウ『...分かってる』
セベク『シルバーも今は己を責めるより、どうやってあいつを救うかだけを考えろ』
シルバー『..っ、ああ..悪い』
両者がようやく落ち着きを取り戻し、殺伐とした空気が少し和らいだところで、全員で闇の塊を見下ろしながら、どうやって中のレイラを助け出すかを考える
グリム『ふなぁ..あいつ、もう深いところまで落ちちまってんじゃねぇか?』
ユウ『だとしても、この中に入って助け出すよ。問題は、』
セベク『どうやって戻ってくるか、だな。浅いところなら手を伸ばして引き上げるか、誰か一人が入り、残りがここから二人を引き上げられる。
だがグリムの言う通り、深いところまで落ちてしまったとするならば、』
シルバー『俺が行く』
セベク『シルバー..何か考えでもあるのか?』
シルバー『ああ。これを使っていけば、闇を退けながら進めるかもしれない。恐らく闇の負の影響を受けにくいだろう』
チャリっと首にかけたチェーンを持ち上げ、オーロラ色の指輪を取り出す。以前、その指輪の輝きが闇を追い払ったことを思い出した
グリム『確かその指輪がピカーっ!って光ったとき、あの闇が逃げていった。それなら、呑み込まれずに済みそうなんだゾ!でも、それならここで闇を消しちまったほうがいいんじゃねぇか?』
シルバー『いや、ここで闇を完全に払うのは避けた方がいい。呑み込まれかけているならまだしも、完全に中にいるレイラにはどんな影響があるか分からない。指輪を使うのは中に入ってからで、闇を完全に払うのではなく、あくまで寄せ付けないようにするだけだ』