第89章 *暗闇アストレイ*
『『『は...?』』』
シルバー『レイラは、この空間に落ちてからずっと着いて来てくれたんだ。俺のために、俺の心を救うために..だけど自分のことで精一杯で..彼女が俺のために何度も声をかけてくれても応えることができなかった。それどころか、もう着いて来ないでくれ..などと言って、突き放してしまった』
セベク『シルバー..』
シルバー『でも彼女はどんなに無視しても諦めずに側にいてくれた。この闇に呑み込まれた時でも、俺を一人にしないからと共に沈んだ。
だけど彼女の方が先に全部飲み込まれて..お前たちが俺を引き上げてくれた時に、僅かに足が押し上げられる感覚がしたんだ』
セベク『まさか..シルバーを引き上げさせるために、自分を犠牲に...』
ユウ『..なに、言ってるんですか?』
シルバー『ユ、ユウ..』
ふらりとしながら近づくユウの目には、あの日見たような怒りに満ちた静かな殺意の炎が鈍く灯り、シルバーの胸ぐらを掴んでぐっと引き寄せる
ユウ『ふざけたこと言ってんじゃないですよ。じゃあ先輩は、引き上げられてから今の今まであの子がここに沈んでるって分かっていながら放置してたんですか?』
シルバー『ち、違う..』
ユウ『違わないだろ!!なんで早く言ってくれなかったんだよ!なんですぐに助けを求めてくれなかったんだよ!あの子のおかげで、今まで一人ぼっちでこんなとこ彷徨わないで済んだんだろ。引き上げるときだって、自分が助かるより先輩を優先して押し上げてくれたんだろ!?』
セベク『ユウ..』
ユウ『自分の過去とか真実とかで嘆いたり、落ち込んだり、もう全部がどうでも良くなることも分かりますし責めたりしません。
でも、自分を救ってくれた人のことを忘れるなんて..最低だ
あんたはあの子を見捨てたんだっ!!』